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畳に生えるカビは有害か無害、アレルギーとの関係

RELEASE:2015.08.17     UPDATE:2016/12/07
CATEGORY:ブログ, 社長ブログ, 自然素材
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「畳」シリーズもいよいよ最後となりました。

昨日は「畳部屋で成績アップ 学習効果は実験結果で証明された」

をお届けしましたが、いかがでしたか?

 

 

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今、イ草農家さんや畳屋さんは毎年減少しています。

畳の芯材である「藁床」(わらどこ)を作る職人さんは

高齢化が進み、数えるほどしか残っていません。

 

日本の伝統文化であり、

そしてなによりも心地良い畳を

和室でないにしても残して行きたい。

 

そんな気持ちで全6回を書き上げました。

今日はその最後のブログです。

 

今日は皆さんが畳を嫌がる理由の一つにもなっている

「カビ」などについて、2015/1/19の

北九州私立大学の森田洋教授の講演をもとに

お話し致します。

 

畳にカビが生えるのはなぜ?

畳にカビが生えるのはなぜ?

 

カビは他の微生物に比べて非常に強く

過酷な条件でも繁殖できるのです。

 

しかしカビが生えるには、水や酸素が必要です。

また酸にもアルカリにも強いという性質を持っています。

 

およそ24℃から30℃くらいで繁殖すると言われていますが

4℃以上であれば繁殖可能とも言われますので

都会でしたらオールシーズン繁殖可能なわけです。

 

それ以外に必要な物は水と酸素と栄養分

これが全部揃うことによって繁殖を始めます。

 

・炭素源(ブドウ糖、砂糖、澱粉、油脂)

・窒素(タンパク質、アミノ酸、アンモニウム塩、硝酸塩)

・ミネラル(カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛)

 

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これを全て満たすことによって繁殖しますが

一つでも欠けると繁殖することが出来ません。

 

山に行った時に湧き水を汲んでくる事があります。

しかしポリタンクで保管してもカビが生えません。

それはミネラル源しかないからです。

 

でも、汚い水には炭素源、窒素源が入っているから

傷んでしまうのです。

 

畳はなぜカビが生える事があるのか

畳はなぜカビが生える事があるのか

 

畳の構造を思い出して下さい。

イ草自体はハニカム構造をしているとお話ししました。

 

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この構造がスポンジのような役割をして

沢山の酸素と水分を吸着します。

 

室内の余分な湿気を吸着しているのですが

これがカビが生えやすくする基礎となっています。

 

では、イ草自体の成分は何で出来ているでしょうか。

 

タンパク質(窒素源) 18.9%

糖質 脂質(炭素源) 11%

カリウム カルシウム 鉄 亜鉛

 

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つまり三大栄養素が全て揃っています。

新しい畳ほど、こうしたものが豊富に揃っているので

カビが生えやすいのです。

 

古い畳はミネラルは無くなりませんが

炭素源と窒素源が減少していきますので

カビが生えづらくなっていきます。

 

特に一年目の畳はカビが生えやすいので

畳を上げたりするなど、通気を行うと

二年目からは生えづらくなるようです。

 

しかし

食べこぼしなどをすると、古い畳でもカビが生えます。

食べ物自体に三大要素が入っているからです。

 

畳に生えるカビ

畳に生えるカビ

 

畳に生えるカビは、一般的に室内に生える三大カビと同じです。

 

・クラドスポリウム

お風呂のカビ、洗面所のカビなどです。

黒ければほぼこのカビと思って間違いありません。

住環境に一番生えやすいカビです。

しかし人間には害はありません。

 

・ペニシリウム(青カビ)

野菜や果物、パンに生育しやすいカビです。

ブルーチーズやペニシリンなどの元となるものです。

 

・アスペルギウス

黄色、黒、白など色がさまざまです。

果物や野菜、パンに生育しやすいものでう。

麹カビとも言われます。

 

カビは一体どこから来るのか

カビは一体どこから来るのか

 

畳に生えるカビは一体どこからやってくるのでしょうか。

圧倒的に多いのは、なんと皆さんからの衣類です。

 

畳表には最初からカビ菌は付いていません。

洋服にカビの胞子が沢山ついてきたものが

自宅に帰って浮遊するのです。

 

家族の数が多ければ多いほど、

家庭内のカビの胞子は多くなります。

 

地下街や劇場はカビの胞子がものすごく多いのです。

なぜなら人が多く換気が悪いからです。

 

この外からつけてきたカビは家庭の床の上に落下します。

そこで畳に三大要素があるとカビが繁殖するのです。

 

畳表だけを抗菌したり除菌しても

効果がないことがわかっています。

 

公衆トイレでの実験では

完全に菌の数をゼロにしてから開放し

その後、菌の数を数えたそうですが

1㎝×1㎝の中になんと10億から40億の

微生物が落下していました。

 

なので、カビは自分が持ち込んでいるものが全てであり

これが畳のカビの原因なんですね。

 

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もう一つの原因は食材です。

現代住宅は気密性が高くなっています。

マンションなどは特に気密性が高い住宅です。

 

こうした住まいでカビが生えると家の中に充満しますので

食材の管理が重要となります。

 

畳に潜むと言われるダニも一緒です。

もともと畳表に住んでいるわけではありません。

ダニなどは食材の影響が多いと言われます。

 

特にダニが好きなのが、かつお節と小麦粉です。

小麦粉の保存方法はどうされてますか?

ゴムで止めて常温でおいていたりすると

ゴムの隙間くらいは簡単にダニは出入りします。

 

ダニの研究ではかつお節でダニを増やすくらい

大好物なんです。

 

食材を中途半端に管理をすると

出入りが自由なのでダニなどはどんどん増殖します。

出来ればかつお節と小麦粉は冷蔵保存をオススメします。

 

カビはそれほど気にしなくて良い?

カビはそれほど気にしなくて良い?

 

カビは毛嫌いされますが、具体的理由は以下の三つです。

しかし、全ての場合に「悪さをする」とは言えないのです。

 

・アレルギーの原因になる

カビの胞子がハウスダストになり、それを吸引すると

ぜん息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、結膜炎の原因となる。

ハウスダストアレルギーは50人中、1人いるかいないか程度なので

一般的には問題視しなくても良いレベル。

 

・中毒になる

カビ毒、マイコトキシンなど一部のカビが生産するが

これが発がんと神経障害を引き起こすと言われる。

一部のカビがカビ毒を出すだけで、大半のカビは

毒性を持っていない。

 

 

・感染症にかかる

免疫力が著しく低くなったときに、カビが身体に寄生する。

日和見感染などと言われる。

健康な人には寄生しない。

免疫力の落ちている場合には注意が必要。

 

人間も良い事も悪いこともするように

微生物の世界も一緒です。

 

乳酸菌は良い菌で、O157は悪い菌と言われますが

大半の菌は人間にとって良くも悪くもない普通の菌(常在菌)です。

カビの胞子が舞っていても、

量が少なければ気にするレベルではありません。

 

逆に生活から全ての菌を排除しようとすると

人間自体の免疫力が落ちてしまいます。

 

日本はただでさえ綺麗過ぎるので

海外に行くと食中毒や感染症にかかってしまいます。

 

中国からの留学生が母国の自宅で食事をすると

食中毒になると言っているように

日本の家庭は清潔すぎるようです。

 

いかに日本が綺麗過ぎるか、抗菌剤で排除しすぎているか

アレルギーは発展途上国には無いということからも解る通り、

除菌しすぎると自己免疫疾患になるとも言われます。

 

なので畳表に生えているカビは神経質になる必要はありません。

排除したとしても室内には浮遊菌が沢山あるので

排除しても同じなのです。

 

それよりも、換気をよくして室内の浮遊菌を減らすことが大事であって

完全にゼロにする必要はありません。

 

沢山の量になればハウスダストとして問題視しなければなりませんが

ある程度の量は住環境で許容して付き合っていくことも大切なのです。

 

 

30年前の食中毒発生率

30年前の食中毒発生率

 

現代の食中毒の二大菌といえば

ノロウイルスとカンピロバクターです。

この二つが食中毒の6割から7割と言われています。

 

30年前の食中毒はどうでしょうか。

腸炎ビブリオが昔の食中毒の一番でした。

しかし大量に摂取しないと感染することはなく

1000万個くらい摂取しないと食中毒にはなりませんでした。

 

面白いことに、30年前の食中毒件数と、

現代の食中毒件数は変わりません。

これだけ衛生環境がよくなっているにも関わらず

食中毒の件数が変わらないのはなぜでしょうか。

 

綺麗にしても綺麗にしても、そこに繁殖する菌はいるのです。

なので、結局は免疫力を上げるしかないのです。

つまり、ある程度のカビは許容しながら

全体量を抑えることのほうが大事であり、

除菌ばかりせず、こういった発想で身体を強くしていくことのほうが

とても大切なことなのです。

 

畳のカビについては皆さん神経質になりますが、

全く神経質になる必要はないと森田先生は、

この講演で言っています。

 

全6回の畳シリーズブログの「終わりに」

全6回の畳シリーズブログの「終わりに」

 

全部で6回となった「畳」ブログシリーズも

今回で最後となりました。

 

このシリーズは2015/1/19にイ草セミナーとして

北九州私立大学の森田洋教授の講演を元に作成致しました。

 

室内のカビに関しては僕自身、森田先生のお話し全てを

受け入れるわけではありませんが

除菌しすぎると自己免疫疾患になるということは

 

・発展途上国に行けばアレルギーが治る

・発展途上国には自己免疫疾患がない

・自己免疫疾患は先進国特有の症状

 

などと言われることがあることから

森田先生のおっしゃることはもっともなことだと思います。

 

しかし実際に自己免疫疾患で悩んでいる皆様は

畳のカビはなるべく生えていないほうが良いですし

発生した場合には適切な処置が必要だと思います。

 

 

私たちは日本が世界に誇れる畳文化の炎を

絶やしてはいけないと、

和室をご希望のお客様には国産畳をオススメして参りました。

 

このブログを読んで頂き、国産畳の魅力を感じた方は

是非ご自宅の畳部屋をもう一度見直してみてあげて下さい。

 

そこにはとっても懐かしい香りや思い出が

きっと見えてくる場所なのだと思います。

 

※2015/1/19北九州私立大学の森田洋教授の講演をもとにしております。

 

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<編集後記>

 

畳シリーズを全部で6回も書き上げてしまいました。

連続にするか、飛び石にするか悩んだのですが

飛び石にすると、見つけづらくなってしまうと考え

連続のブログにしました。

 

13.12.07_117前田・一枡s

12月のイ草の田植え作業をさせて頂いた僕

 

現在、日本の畳は熊本の八代でわずかに生産されている状況です。

現地の皆さんのご協力で

毎年当社のスタッフが勉強に為に

住み込みで研修させて頂いておりますが、

現地の皆様のイ草の品質へのこだわりは

まさに日本の職人気質です。

 

13.12.08_156平川・一枡s

熊本までいらして頂き生産者の平川さんの作業を見学(Y様)

 

僕は「ものの正しい価値を知るということ」は、

それを「作った方に会う」ことだと思っています。

 

熊本までご案内したY様は、

ご自宅の畳がつくられる現場と生産者である平川さんに会うことで

後日、「自宅の畳がほのかに光っているようだ」とおっしゃいました。

 

もしかしたら笑う人もいるかもしれませんが

住まいづくりで僕が伝えたいことは

そうした創り手と住まい手の想いを繋げ、

幸せを結ぶことです。

 

本物の畳の生産者に会いたい

その畳を自宅で使いたい

そう思われたら是非お問い合わせ下さい。

私が現地へお連れして「本当の価値」をお伝え致します。

 

 

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