駿河屋でも「新月伐採」(月齢伐採)とよばれる
木材の伐採方法が、本来の魅力を引き出すことから
一番オススメしている木ですが、
この「新月伐採」(月齢伐採)について
改めて説明をしようと思います。
木を伐るのに望ましい時期
木は植物なので、野菜と同じように
実は「旬」があります。
これを「伐り旬」と一般的に呼んでいます。
それは彼岸から彼岸までだと言われ
秋分から春分までとされてきました。
つまり、秋から春までに伐採するのが
本当の意味での木の「伐り旬」だったのです。
これは、丁度理にかなっていて
半農半林をしている人たちにとって
農繁期が終わると山に入り
林業に携わるということで
一年を通じて仕事を得ることが出来た
ということでした。
しかし、昭和40年代半ば頃から
木材の需要が急騰しはじめて
国産材が品薄になったときに
伐り旬以外の時期
つまり、木材が水分をぐんぐん吸い上げる
春や夏などに伐った木
これを「ズブ生」と呼びますが
こうした水分たっぷりの木を売り出したところ
売れたので、その後は伐り旬を厳密に意識せず
伐採して販売するようになったそうです。
「ズブ生」は水分が一番多い時期なので
一般的にはカビなどが生えやすい材料です。
しかし、人工乾燥が一般的になった現在では
伐採して機械に入れてしまえば同じなのかもしれません。
「木とつきあう知恵」
1996年にオーストリアのチロル地方の
営林省に務める、エルビントーマ氏が
「木とつきあう知恵」という本を出版しました。
これは大きな話題となり
ドイツではベストセラーになったそうです。
この本に書かれてる内容を簡単に説明すると
”おじいちゃんの言うとおり、月の満ち欠けに応じて
木を伐ったら、良質な木材になったよ”
という内容の本です。
正しくは、下弦の月から新月にまでに伐った木は
虫が付きづらくカビが生えづらい
良質な木になるということでした。
これを日本語に翻訳した増田氏は
出版前にご自身で色々と試したそうですが
自分自身で確証を得て出版したそうです。
新月伐採(月齢伐採)が良質の木を生む理由
月の満ち欠けは月と地球と太陽の位置関係が
影響を及ぼすのは周知の通りです。
その3つの惑星の引力が互いに影響を
及ぼし合うことで、植物に何らかの
影響を与えていると考えられます。
昔は農耕にも月を利用していたように
植物である木も影響を受けるのは
当たり前のように感じます。
実際には、デンプン質に影響があり
そうしたことからカビや虫への影響が
直接的に変化するものではないでしょうか。
また、新月伐採(月齢伐採)材は
山で葉がらしとよばれる、伐採直後から
数ヶ月間にわたり、枝葉をつけたままで
放置しながら乾燥させる方法をとり
さらには、人工乾燥の機械に入れることなく
天然、自然の状態で乾燥させることで
色つや、香りもよく、木の本来持っている
成分を残すことが出来、
新月伐採(月齢伐採)材の魅力を
より高めることとなります。
良いならなぜ、みんなやらないの?
こうした伐採方法や乾燥方法が
木の質を良くすることがわかっているのに
なぜやらないのでしょうか。
それは、林業自体が補助金がなければ
運営していけない業種になってしまったからです。
木は伐採したらすぐに乾燥させて出荷しないと
お金に換えることの出来る木を放置することになります。
つまり資金がまわらなくなる。
なので、すぐに現金化するために
山からすぐにおろし、乾燥させ出荷させてしまうのです。
乾燥させる期間である数年分の運転資金があれば
また、乾燥させるだけの広大な敷地や倉庫があれば
きっと出来る林業家の人も増えるのでしょうか
現実の林業ではハードルの高い事業と言えます。
今日の「わかった!」
新月伐採(月齢伐採)材は
「木とつきあう知恵」という本が出版されてから
大いに話題となった木の伐採方法ですが
現在の林業ではなかなか実施が
難しい方法です。
しかし、なかでもNPOなどをたちあげて
愚直に続けているところがあります。
それは静岡の天竜と、先日訪れた
三重県津市美杉町です。
実際の木材を見ると、その違いに驚きます。
皆さんも見る機会があれば、是非比較してみて下さい。
きっと驚くと思いますよ。
今年も新月伐採(月齢伐採)ツアーを
10月ごろ予定しております。
来年着工のお客様なども参加して
ご自身の家の木をご自身で伐る体験をします。
ご興味ある方は是非ご参加下さい!
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<編集後記>
静岡県天竜区で新月伐採(月齢伐採)をしていた
榊原さんが昨年ガンで無くなりました。
新月伐採(月齢伐採)をひろめようと取り組み
僕に色々と木のことを教えてくれたとても素敵な方でした。
現在は息子さんがあとを継いで
なんとか新月伐採(月齢伐採)材を継承するよう
奮闘しております。
伐採ツアー、是非皆さんも参加して応援して下さい!
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