漆喰と言っても純粋に「漆喰」と呼べる
本当の漆喰は意外と少ないものです。
今日は日本に古くからある漆喰の材料である
石灰についてお話ししたいと思います。
変化する石灰
石灰には石灰岩を焼いた生石灰と
生石灰に水を加えて水和反応させて
つくる消石灰があります。
水和反応
消石灰は空気中の二酸化炭素を
吸収して硬化しますが、時間の経過とともに
原材料の硬い石灰岩に戻ります。
その特性を利用して、古くから漆喰壁や
大津壁の材料として利用されてきました。
一般的な消石灰と塩焼き灰
現在、流通している主な消石灰は
重油を炊いて加熱したあと、
水を加えて作る工業灰がほとんどです。
しかし、重要文化財となるような建物の
外壁につかわれる漆喰の材料として
使われるものに塩焼き灰という石灰があります。
釜でじっくり焼成させる塩焼き灰
土佐漆喰 塩焼き灰
塩焼き灰は徳利状の釜(地中に埋設されている)
の上の穴から石灰岩とコークスを入れて
岩塩を散布してゆっくりと低温で焼成させる
昔ながらの方法で作ります。
塩焼き灰がつくられる
低温でじっくりと時間をかけることで
結晶化が大きくなる石灰を作ることが出来、
石灰粒子単位の表面積が大きくなることで
糊を加えて漆喰をつくる際に
糊の量が少なく、左官に適した材料となるのです。
焼成させた生石灰は俵に詰めて
俵灰となって、空気中の湿気を吸わせ
自然消化という過程をおきます
さまざまな石灰
消石灰は石灰岩からだけではなく
貝やサンゴなど石灰岩と同じ組成をもつ
材料なら同じ工程で作ることができます。
貝灰はアサリやハマグリ、ホタテなどの貝殻を
焼いて石灰をつくるものです。
この方法は古代から全国で行われてきました。
結晶の粒子が大きく、白の色味も
消石灰にくらべておとなしい感じです。
漆喰の材料として、消石灰に加えて使うと
粘りが強く、屋根漆喰に多く用いられてきたと
言われています。
沖縄などではサンゴを焼いて石灰をつくってきました。
木や草、バナナの葉などを集めて、
サンゴを入れて燃やして石灰を作ります。
沖縄の「ムチ」と呼ばれる糊を入れない漆喰も
この石灰が使われており、屋根漆喰や
石垣の目地などに使われてきました。
今日の「わかった!」
漆喰の原料である石灰も、さまざまな製造方法があります。
その土地とちに古くからの製造方法があり
それぞれ、現地の素材や環境に最適の方法がとられてきました。
やわらかい癒やし系の色あいも
素材や製造方法によって様々な表情を見せます。
その土地にある素材をその土地の水で練って
つくることは、それだけで価値のあるものだと思います。
また、不要になればそのまま土に還っていく
そうしたことは限りなくシンプルで自然な素材です。
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<編集後記>
先日は、バックカントリースキーをしに
乗鞍岳に登って滑ってきました。
10年ぶりでしたが、やっぱり楽しかったです!
近いうちにまたブログで報告します!
駿河屋の九代目がお送りする、天然素材・自然素材住宅のホント
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