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自然素材、天然素材とはそもそも何なのか、産地やメーカーの裏側を含め知ることが大切

RELEASE:2016.02.01     UPDATE:2025/03/10
CATEGORY:ブログ, 社長ブログ, 自然素材
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自然素材、天然素材と言われる住宅は、

自然界にある純粋な素材だけで家を作っているのでしょうか。

 

現代住宅において、自然界にあるものだけで住宅をつくることは、

そもそも可能なのでしょうか。

 

Y&F様邸

厳選素材で創った住まいは空気が全く違う

 

今日は、老舗材木商の九代目であり、

住宅、建築、不動産の資格である

一級建築士、一級施工管理技士、宅地建物取引士をもち

建築、住宅、不動産業界を30年以上経験している私が

 

「本物の自然素材住宅」を造る為に、全国各地の工場や産地を実際に足であるき、

見てきたことをもとに

 

「自然素材」「天然素材」などと呼ばれる物の「本当」をお話しします。

 

 

「自然素材」とはそもそも何か?

 

自然素材というと一般的には自然界に存在する素材、化学性の物質の入っていない素材を言いますが、

現代の住宅において本当にそんな素材が有るのでしょうか。

 

たしかに昔の住宅は、石、土、木や紙で作られていました。

 

瓦などは粘土に釉薬(ゆうやく)を塗って焼いたものですし、

釉薬(ゆうやく)は鉄や銅などの鉱物をまぜたものです。

 

紙は麻やコウゾ、みつまたなどの植物です。

 

越前和紙は大型なので二人ですく

 

塗料なども、柿渋など植物から材料をつくりました。

 

ワックスを造る為、薬を使わない養蜂家から蜜蝋を分けて貰う

 

土は稲わらを混ぜて発酵させて壁に塗られていました。

 

こうしたものは全て「自然素材」であると言えると思います。

 

 

 

伊勢神宮の木材を伐り出す林業家の方の家づくりを

伊勢に見に行ったことがありますが、

土を発酵させ、壁に塗る作業をお手伝いしたことがあります。

土に稲わらをまぜ発酵させるところから作っていた

 

 

完全に自然素材で作るということは、

とても時間と手間暇のかかるものだと実感しました。

 

土壁塗りをお手伝い

 

しかし、

 

完成した住まいは寺社仏閣や豪農の古民家に入ったような、

清々しい空気で、現代住宅では感じることの出来ない

本物の「自然素材」の心地よさを実感しました。

 

 

 

現代住宅は何でできているのか

 

昔は「自然素材」だけで作られていた住宅も、

次第に「自然素材」では無くなってきました。

 

先の大戦のあと、一刻も早く日本を復興させるために、

政府の方針で人口増と経済発展を目指しました。

 

その為、日本の木材の供給が間に合わず、

海外の木材に頼ることになりました。

 

また、

 

住宅を「早く」「安く」つくるために、建材メーカーや住宅メーカーが、

安い材料を大量に供給できる「建材」を開発していったのです。

 

それが「合板」であったり「ビニールクロス」であったり、

石油を由来とした成分で開発されていったのです。

 

今では技術が進歩して「柱」や「梁」(はり)でさえ、

接着剤で貼り合わせて作られています。

 

見た目は「木」なのですが、

こうした柱や梁、合板などは石油由来で作られた接着剤を使っているために、

再利用ができなくなっています。

 

 

 

解体すると再利用ができずに「産業廃棄物」になってしまうため、

「ゴミで出来た家」と揶揄する人もいるほどです。

 

友人の産業廃棄物処理工場 なんと驚異の再生率99%!

 

 

 

現代住宅の化学物質汚染

 

こうした素材で出来た住宅は、

やはり「自然素材」で出来ているとは言えません。

 

日本は戦後の復興をいち早く遂げることができましたが、

住宅を「早く」「安く」つくることが出来るようになった一方で、

化学物質による健康被害が社会問題化しました。

 

これが「シックハウス症候群」と言われるものです。

 

 

 

「シックハウス症候群」とは、化学物質で作られた住宅建材、

つまり「新建材」と呼ばれる合板やビニールクロス、

塗料やワックス、防虫材などから揮発される汚染空気に、

その住宅に住む人が「暴露」され、

慢性的な頭痛やめまい、吐き気やアレルギー反応など

様々な症状に悩まされる健康被害です。

 

 

 

1990年代に社会問題化した「シックハウス症候群」は

2003年の建築基準法の法改正で

特定の化学物質を規制する法律となりましたが、

完全に排除してしまうと「新建材」が製造できなくなってしまうために、

「ホルムアルデヒド」等の一部の化学物質の規制にとどまりました。

 

メーカーは規制された化学物質の代わりに

他の化学物質を使うことで「新建材」を製造することになりましたが、

新たな物質が健康被害の原因になったり、

様々な物質が化学反応することであらたな「複合汚染」に発展したりと、

根本的な解決には到っておりません。

 

私も様々なシックハウス症候群の方の家づくりの相談にのってきましたが、

症状を訴える方々の苦労は計り知れません。

 

なぜなら現代社会はどこにいっても化学物質だらけだからです。

 

せめて自宅だけでも安心できる空間をつくりたいという願いです。

 

実際に症状のある方が一番影響を受けるのは、

住宅の仕上材に使っているものであるため、

まずはそうしたものを排除や隠蔽することで応急処置をします。

 

 

 

「自然素材」と「グレーな自然素材」

 

1つの例です。

 

あるメーカーの珪藻土(けいそうど)は

珪藻土と自然界にある土などをまぜて作っているので

自然素材100%とうたっています。

 

僕が採用を決めた稚内にある珪藻土の採掘場

 

 

当然ながらカビ防止剤など科学性の物質を入れていないので、

結露などが発生してしまうとカビが広がりやすかったりします。

 

逆に、完全な「自然素材」だけで出来てるので、

ガビョウで刺した穴や、ちょっとしたキズなどは

水を少し含ませることで一旦半練り状にもどり、

穴を埋めたり、キズを直したりなどの

補修ができるという利点があります。

 

 

あるメーカーの珪藻土は、施工性を良くする、カビをはやさない、

などの理由で樹脂や防かび材などを混入しています。

 

樹脂は当然化学物質を含んでいるので

厳密に言えば「自然素材」「天然素材」とは言えないでしょう。

防かび材も同じです。

 

また、

 

あるメーカーの珪藻土はマグネシウムやニガリなどで固め、

ゼオライトで消臭効果を高めているものもあります。

 

これらは自然界に存在するものなので

「自然素材」「天然素材」と言っても良いかもしれません。

 

IMG_3455

採掘した珪藻土を保管している稚内の倉庫

 

 

実は珪藻土は、それ単体では固まることができません。

 

樹脂を混入させるか、デンプン糊などを入れて

固めることで「塗り壁材」となるのですが、

自然素材100%にこだわる場合には、

「デンプン糊」などを多くすることで固まるようにしている建材もあります。

 

しかし

 

「デンプン」はカビのエサになりえるために、

一旦カビが生えると一気に広がることがあります。

 

カビが広がるリスクを減らすために

デンプンの量を減らすことが必用ですが、

樹脂を混ぜると自然素材100%とは言えません。

 

 

ではどのような方法で固めるかというと、

珪藻土の粒子をバラバラにして、

泥団子が固まる性質を利用して固めたりします。

 

 

 

木にも天然と人工がある

 

南会津での栗の木の伐採

 

自然素材の代表である無垢の木のフローリングは

「自然素材」と言い切れるのでしょうか。

 

「無垢の木は自然の無垢の木でしょ?」

 

「何をあたりまえのことを?」

 

という声が聞こえてきそうですね。

 

一本一本、伐採した日時とGPSデータが記録される天竜

 

たしかに無垢の木は自然の木です。

 

実は木を伐ったあとに「どのようにするか」で大きな差が出るのをご存知ですか。

 

伐採したばかりの木は水分を沢山含んでいます。

この水分を少なくしないと乾燥過程で反ったり、割れたりしてしまいます。

そもそも水分が多くのこった状態では、重すぎて運び出すのに苦労します。

 

しかし、自然に乾燥するのを待っていると、

時間もかかりますし、場所も取られコストもかかります。

 

なにより、いつまでもそのままにしておいたら、

お金に換えるまで時間がかかりすぎるため、

企業が事業継続のための運転資金が多く必要になってしまいます。

 

そこで現代の一般的な木材は「人工乾燥」「機械乾燥」をして、

早く建材として出荷できるようにするのです。

 

「人工乾燥」とも「機械乾燥」とも呼ばれる技術は、

実は戦後の復興や関東大震災の復興需要などで

木材を早く供給するために、

ソ連(現代のロシア)から伝わった技術だと言われています。

 

伐採した木材を早く建材として使用できるようにするために、

熱を加えて強制的に早く乾燥させるのです。

 

機械を使って強制的に短期間で水分を抜くことで、

住宅建材として使用しても、反ったり割れたりが少なくなるのです。

 

しかし、

 

強制的に短期間で乾燥させることで木の本来持っている油までが抜けてしまい

手触りや香りが全く変わってしまいます。

 

これを「木のミイラをつくっているようなものだ」と呼ぶ人もいるほどです。

 

IMG_2831

木材を乾燥させる窯

 

 

短期間で行う「機械乾燥」「人工乾燥」は表面から急速に乾燥させるために、

表面にはわからなくても柱の内部が割れてしまい、

強度が著しく低下することがありました。

 

これを「熱割れ」と呼びますが、

現代の乾燥方法は低温乾燥という方法もあり、

こうした事故は発生しなくなってきています。

 

しかし、

 

の油や香り成分などが失われ、色艶が悪くなった「木」は、

本来の魅力が失われたものです。

 

こうした木は、はたして、「自然素材」「天然素材」と呼べるのでしょうか。

 

 

 

天然で乾燥させた木

 

天然乾燥中の木材

 

 

機械乾燥、人工乾燥とは対照的に

自然に乾燥させた木材も市場ではごくわずかですがあります。

 

伐採した木を山から下ろしたあとに製材し、

自然の状態で乾燥させることを「自然乾燥」「天然乾燥」と言います。

 

「水中乾燥」という方法もあります。

 

乾燥させるために水中に入れるのですが、

普通の人では理解に苦しむと思います。

 

「水中貯木」とも言われるこの方法は、

水中に長期間浸けることで、海水(塩分)による浸透圧により白太の細胞壁を破壊し、

細胞内に海水が満ちることで細胞内の水分を適度に抜く方法で、

昔は一般的に行われていましたが、

現代では場所とコストの問題からほぼ行われていません。

 

しかし伊背神宮の式年遷宮で使われる木材は、

現在でも「水中貯木」をしているそうです。

 

詳しく知りたい方は、僕が以前に書いたブログ

「木は水の中で乾燥させる?水中貯木とは」

を読んでみてください。

 

「自然乾燥」「天然乾燥」とは、

「機械乾燥」「人工乾燥」と真逆の方法で

木材を自然に乾燥させる方法ですが、

それ以前に伐採直後に山で行う乾燥方法があります。

 

これは昔からの方法で、木材の水分が一番少ない時期、

つまり寒い季節に伐採し、

枝葉がついた状態で数ヶ月山に放置します。

これを「葉がらし」と呼びます。

 

旭川の原木市場も真冬に行われる

 

 

葉がらしを行うことで、水分やデンプン質を少なくして

虫やカビが発生するのを抑える効果があります。

 

同時に重さも軽くなるため、

伐採したあとに山から下ろしやすくするのです。

 

葉がらしの後、山からおろし、

製材して数年かけてじっくりと自然に乾燥させるのです。

 

P1250006

伐採してはがらしをしている現場

 

 

 

この「葉がらし」をすることで

木の本来持っている香りや艶が残ります。

 

僕は全国各地の林業家や製材所、

材木商にあって話しを聞いてきましたが

どこにいっても皆かならず

「葉がらしはやったほうが良い」

と言います。

本当に皆一様に言うのです。

 

しかし

手間ひまや保管場所などコストがかかるだけに

実践している林業家や製材所はとても少ないのが現実です。

 

「葉がらし」「天然乾燥」をやってますよと言っても、

実際に行って話しを聞いたり、

伐採時期と照らし合わせると期間を短くしているところが多いのにも驚きました。

 

「やっている」と言っても「やっていない」のと同じだからです。

 

理由は、伐採したらはやく山から下ろして、

機械で早く乾燥させ市場に出さないと、

お金にならないから。つまり資金がまわらないからです。

 

残念ながら現代の林業は不採算産業です。

国の補助金がなければやっていけないほど苦しい状況なので致し方ないのですが、

昔からの伝統が失われていくのは残念でなりません。

 

 

 

あやしい木材

 

無垢の木といっても、

国産ではなく外国産の場合、原産国しかわからず、

どういう環境で育った木かどういう製材過程で

どういった環境の倉庫に保管され、

皆さんの自宅まで届くのかも不明な木材がほとんどです。

 

海外からの木材は特に海外の虫が国内に入ることを防ぐ必用があるため、

防虫材を使っています。

 

中には漂白剤、カビ止め剤などを使ったもの、

またそういう木材とともに保管されていたものなどもあります。

 

こうした薬品は一緒に保管されていたものに移る特性があります。

その為、ドラッグストアの食品を買わないほうが良いと僕は思っています。

 

商店建築などで使われる場合には良いとしても、

人生の大半を過ごす自宅で使うことはおすすめできません。

 

僕が木材は必ず「国産」であり産地や製材所、

乾燥場所を実際に見て確認できたものしか使わないのはそのためです。

 

 

 

産地偽装ではないけれど

 

高知の木材市場

 

 

私が木材の産地を確認しようとしても

本当の産地までたどり着くことが難しい木材があります。

 

流通市場では、たどっていけば必ず生産者に会えるはずだ

と信じていた時はショックでした。

 

ある銘木(品質の良い木材)の産地を訪れた時、

そこに製材所をつくり、他の産地からの木材を運び製材することで、

銘木産の木として家づくりをしている住宅メーカーがいたことに、驚きました。

 

加工が終わると、本来の産地名ではなくこの製材所のある○○ブランドの木になるのです。

 

食材でも中国産のナメコが日本で瓶詰めされれば

日本産になるのと同じです。

 

これは法律違反ではありませんが、

この住宅メーカーの倫理道徳感には疑問が残ります。

 

 

 

「本物の自然素材」と呼べるもの

 

奈良吉野の100年の森で育つ杉やヒノキ

 

このように木材ひとつとっても「本物の自然素材である」

と言えるものと、言い切れないものがあるのです。

 

もし「これも自然素材である」と言えたとしても、

その家に住む人が知ったら、

「その木でも良い」と言うでしょうか。

 

天然乾燥材の赤身

 

少なくとも僕が実際に「葉がらし」をきちんと行い、

「天然乾燥」をした木材と、そうでない「機械乾燥」の木材の両者を並べて見せ、

触ったり、香りを感じて頂いたりしながら説明させて頂いた方は、

「天然乾燥の木のほうが良い」と言います。

 

 

 

畳は「自然素材」と呼べるのか

 

 

畳は「畳床」(たたみどこ)と呼ばれる芯材と、

それをくるむ「ござ」と呼ばれるもの、

それと「へり」と呼ばれる布で作られています。

 

「畳床」は別名「藁床」(わらどこ)と呼ばれ、

名前の通りお米を収穫したあとの稲藁(いなわら)を使って作られています。

 

藁床を寸法を決め、切断しているところ

 

藁をきつく縛って板状にし、

イグサで作った「ござ」で巻いて「ヘリ」で保護します。

 

日本の文化でもある「畳」ですが、

これも高度経済成長の最中に住宅を早く安くつくるために効率化、

コストダウンされ変化してきました。

 

また、

住宅の作り方が変化したことで、

畳にも薬品が使われることになりました。

 

 

 

畳の防虫シートでシックハウスに

 

住宅の建築方法が現代住宅に変わっていくなかで、

日本の住宅は結露に悩まされることとなります。

 

昔の住宅は隙間が多かったのですが、

アルミサッシなどの登場で家の隙間が少なくなりました。

 

家を断熱するという概念も無かったため、

室内で温められた空気は家の様々なところで結露するようになりました。

 

家はビニールクロスと合板なので、

溜まった湿気を吸収できるのは「畳」しか無かったのです。

新建材で出来た家は湿気を吸収できないのでビニールハウスと同じ状態なのです。

 

そのため、畳はカビやダニの温床となり、

その対策として「防虫シート」が使われることになりました。

この防虫シート入りの畳も「シックハウス症候群」の原因物質の1つです。

 

 

 

「藁床」を作る職人がいない

 

また、畳を軽くするために芯材を発砲製のものに変わりました。

 

昔はお米の稲の刈り取りはカマで刈る「手狩り」が一般的でした。

 

しかし、

現代ではコンバインで刈り取るため、

長いままの稲は粉砕され細かくなってしまいます。

 

長い稲藁が取れないので、

藁床に使う稲わらが取れません。

 

本物の自然素材である「藁床」をつくるには、

そもそも手狩りの稲わらが必用なのです。

 

こうしたことから、「藁床」をつくる職人は現在ではほぼいません。

 

 

 

現代は中国産の畳が7割とも8割とも

 

住宅を「早く」「安く」つくるために、

畳のコストダウンもはかられました。

 

産地を中国にすることでコストダウンしたのです。

 

現在流通している畳のイグサは、

中国産のものが7割とも8割とも言われています。

 

価格は圧倒的に中国産のものが安いので、

日本のイグサ農家さんは太刀打ちできません。

 

畳イグサの一大産地であった熊本の八代に、

僕や会社のスタッフが毎年農家さんに泊まり込んで

お手伝いをしていた時期がありました。

 

コロナ前は毎年イグサの刈り取り作業の手伝い

 

 

あるとき農家の方に、

八代が一望できる高台に案内してもらったことがあるのですが、

イグサの田んぼにまざって、ビニールハウスがかなり多く見えました。

 

「昔は一面、イグサの田んぼしかなかったけど、みんなイグサ農家をやめてトマト農家になった」

 

と寂しそうに言っていたのを思い出します。

 

お世話になっている平川さんが育て作った畳表(ござ)

 

現代の熊本は「くまもん」と「トマト」が有名ですが、

昔からトマトの産地ではなかったのです。

 

実はイグサ農家さんはイグサの生産をするとともに、

機械でゴザに折り上げる製造業でもあります。

 

最後はイグサの品質を目で確認し、機械でござにしていく

 

 

そのため、ゴザに織る機械が必用なのですが、

この機械のメーカーはすでに製造しておらず、

農家さんは機械が壊れたら、

イグサ農家を辞めた方から機械をゆずり受けたものから部品を取って修理していました。

 

 

 

中国産の「畳」と国産の「畳」との違い

 

市場のほとんどが中国産になってしまった畳ですが

、国産を選ぶメリットはあるのでしょうか。

 

僕がイグサ農家の手伝いに毎年通っていたころ、

国産のイグサと中国産のイグサを比べてみたことがありました。

 

イグサの生産は冬の寒い時期に田植えをして、

真夏の暑い時期に刈り取りを行います。

 

真冬にイグサの田植えをした

 

 

イグサは表面こそ強いですが、

中はスポンジ状になっている植物です。

 

このスポンジ状の部分が、暑い時期にぐっと成長し、

本来のふみ心地になるのです。

 

対して中国は畳の文化が無いからか、効率化のためか、

内部のスポンジ状の部分が未成熟の状態で刈り取りを行うのです。

 

これを「早狩り」と言います。

 

その為、中国産のイグサ畳よりも

国産の畳のふみ心地のほうがとても良いのです。

 

また、

中国産のイグサの農薬はどんなものを使っているかは不明です。

 

海外で生産されたものなので防虫剤も使われている可能性が高いです。

 

畳はほんらいの良い香りのするもので、

香りとともに風合いを楽しむものでしたが、

汚れを防ぐために紙やビニールで出来たものも生まれました。

 

新築住宅でも和室をつくる人が減ってきています。

リフォームで和室を洋室に作り替える重要もいまだ多いのも事実です。

 

畳は「自然素材」の代表のようにも思えますが、

「本物の自然素材」と言える畳は失われつつあるのです。

 

 

 

自然素材の敵は「住宅会社の都合」と「結露」

 

住宅における「自然素材」は「本物」と「そうでないもの」「グレーなもの」に分かれます。

どうせなら「本物の自然素材」の方が良いように思えますが、そうはなりきれない物が多いには大きな理由が2つあります。

それは「住宅産業の都合」と「結露」です。

 

 

 

「住宅会社の都合」とは

 

現代住宅は「早く」「安く」建てることができるよう、

「新建材」の開発で変化してきたとお話ししました。

 

ようするに「効率」が優先されてきたということです。

 

その為、効率の悪いものは全て排除されてきました。

 

効率を上げるためには、

現場の施工効率と住宅営業マンの営業効率です。

 

現場の施工効率を上げるためには、

工事期間が短くなるようにしたり、

職人さんの手間がかからない素材を使うことです。

 

その為にメーカーは素材自体を早く乾くようにしたり、

1回で仕上がるように樹脂を混ぜたりします。

 

住宅に使う素材は住宅メーカーや工務店が選んでお客様に提案するため、

メーカーは「住まい手」ではなく「造り手」を向いた商品開発を行っています。

 

営業マンはなるべく家を多く売りたいのですが、

一番面倒なのがクレームです。

 

クレームが起こると時間をとられ

他の受注どころではなくなります。

 

そのため、

クレームがなるべく起きない家づくりを目指します。

 

自然素材を使って万が一、

壁にヒビが入ったり、床が割れたり、

反ったりしたら、クレームになってしまいます。

 

きちんと説明をして、正い施工を行えば問題ないのですが、

そうした技術や知識とは別の世界です。

 

 

 

「結露」しない家で「本物の自然素材」を使う

 

 

住宅が近代化されたことで、

アルミサッシなどが開発され、

家の隙間が無くなってきたとお話ししました。

 

その為、以前は自然に外にでていた湿気が

室内に籠もるようになりました。

 

断熱が不十分な日本の家は、

暖房をしても暖かいのはその周囲だけです。

 

空気は温度が高いと湿度をたっぷり含むことが出来ますが、

温度が下がると湿気を含むことが出来ずに

壁やガラス面で結露が発生します。

 

これがカビの原因になるのです。

 

ビニールクロスなどの新建材は

このカビを防ぐ為に薬品などで処理しています。

 

この点、「自然素材」は自然由来のものなので、

こうした環境ではカビが生えやすくなります。

 

その為、自然素材と言いつつも、

様々なものを混ぜてしまうのです。

 

では「本物の自然素材」を使うことは出来ないのか?

というとそうではありません。

 

しっかりと断熱と気密を行い、

結露しない家にすることで「本物の自然素材」を使うことが出来るのです。

 

昭和の古い住宅工法では、断熱や気密不足で結露に悩まされる家でしたが

断熱性能と気密性能が上がった現代住宅では、こうした問題がなくなりました。

 

古い住宅でもリノベーションで解決できる問題なので

本物の自然素材は今だからころおすすめしたいのです。

 

 

 

今日の「わかった!」

 

コロナ前は毎年開催していた親子伐採体験

 

 

自然素材、天然素材といっても

混ぜているものによっては、疑問が残る素材もあります。

 

また、自然素材100%でも

デメリットが大きい素材もあります。

 

木材などは自然素材だといっても本来望むべき姿ではなく

人工的な加工がされているものが市場の多くを占めています。

 

本当に昔ながらの木材は、

市場のなかでは非常に少ないと言ってよいでしょう。

これは比べれば一目瞭然です。

 

また、

珪藻土や漆喰なども一見「自然素材」と思われがちですが、

建材メーカーや住宅会社の都合で

本来「自然素材」と言えないものも混ぜられています。

 

しかし、

住宅をしっかりと断熱、気密することで、

安心して「本物の自然素材」を使い、

心地良く健康的な暮らしを実現することが可能です。

 

「本物の自然素材」のメリットやデメリットを正しく知って

ご自身にあった効果とコストのバランスの良い住まい作りを実現するためには、

詳しい専門家の話を聞きながら

実際の素材を手に取ってみることをお勧めします。

 

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