皆さんの子供の頃の家はどんな感じでしたか?
田舎でしたか?下町でしたか?それとも高級住宅地の一軒家?
どんな住まいでも、皆さんの記憶には様々な出来事とともに鮮明に残っているでしょう。
今日は「たくましく生き抜く力を育む家」についてお話しします。
画像は安達太良山の温泉のある山荘「くろがね小屋」
僕が子供のころ育った家は、木造2階建て、瓦葺きの家で、お店と倉庫が隣接されていて、家の敷地は大工さんの加工場になっていました。
朝から晩まで木材をノミやカンナで削る音や、大工さんの会話、配達のトラックの音がしていました。
家は古く、扉も少したてつけが悪かったように思います。
毎朝、お店の土間をおが屑で掃除していたのを思い出します。
(おが屑を撒いて掃除するとホコリがたたないんです)
おじいちゃん、おばあちゃんと、おじさん、そして僕の両親と姉が二人の9人家族で住んでいました。
僕たちの寝室は二階で、仰向けになると家が斜めになっているのを感じるほど、傾いていました。
天井は杉板張りで、節が目玉みたいに見えて、子供の頃に熱を出してずっと寝ていると、ちょっと怖かったのを思い出します。
階段や台所の床は松などが張ってあり、黒くてピカピカになっていました。
柱は兄弟3人分の背比べの傷が残っていました。
お風呂は薪でたいていたので、シャワーなんてありません。
となりの台所の瞬間湯沸かし器からホースをひっぱり、「シャワー」ごっこで遊んでました。
長湯した時に、蛇口から直接飲む水の冷たさが忘れられません。
布団は縁側で干していて、よくそこで昼寝をしました。
「太陽の香り」というのか、柔軟剤まみれの現代より、あったかい香りでした。
親父にしかられると、倉庫に縛られたり、押入に入れられました。
怖かった記憶はありませんが、今でも懐かしく思い出します。
今の子供たちは、床を雑巾がけする機会はあるのでしょうか。
当然、お風呂を薪で焚くこともありません。
熱を出して寝込んでいる時に、天井の木目を眺めて節を数えて眠ることもないでしょう。
たしかに、家そのものはメンテナンスが楽になりました。
また、メンテナンスもお金を出してお願いすることが、より増えたように感じます。
小学校低学年の頃、年末の僕の大事な仕事は、障子の張り替えでした。
年の瀬ムードに家族や親戚がこたつに入っているときに、その横でみんなの視線を受けて障子の張り替えをしていました。
うまく張れるとみんなに褒められて、得意になって家中の障子を張り替えたものです。
(今思えば、大人たちに良いように使われていたのかも・・・)
コンセントが壊れたりすると、小学生の僕がブレーカーを下げて、配線の修理をしたりしました。
(結構、器用だったので重宝がられてました)
しかし、現代の住まいはメンテナンス自体が楽になっているのと、お金を出してなんでもやってもらう時代になったような気がします。
そうしたことによって、「手入れして大事に使う」という文化が無くなってきたのだと思います。
物を大事に長く使うという意識は、実は家庭で培われてきたものですし、家の手入れなどでも多く学んだように感じます。
そうした事のひとつひとつが僕の記憶にも残っています。
子供を自然の中に連れ出して遊ぶと、様々なことを学びます。
それは机上の勉強ではなく、体験教育だからです。
五感すべてを使って学んだことは、体験として生きてきますし、子供をより強くたくましくさせます。
住まいは長く生活をする空間であり、体験教育の場です。
何でもお金で解決するよりも、親子が一緒になって雑巾がけをしたり、修理をしたりという体験が、今の時代とっても大事なことのように感じます。
汚れたらすぐに貼り変えたり、傷ついたらすぐに交換したりというのは、なにかゲームでキャラクターが死んでも、すぐにリセットしてゲームが再開できるようなものと、とてもダブって見えるのは僕だけでしょうか。
壊れたり傷ついたりしたものを、修理して長く使ったりする体験を多くすることで、道具の使い方を覚えたり、道具の手入れを覚えたりしていきます。
住まいはそうした学習の場でもあるはずです。
そうした体験を通じて、生き方やアイデンティティーを育んでいくのだと思います。
なので、住まいはそうした体験がより出来るように考えて作ることも、とても大切なことなのです。
現代社会は便利になりましたが、便利になりすぎたために、大切なこともずいぶん無くしたように感じます。
家の中での生活習慣も、そうしたことからかなり便利になりましたが、子供たちに「体験させる」事も減りました。
そうしたことが、社会の様々な問題を引き起こしていることと、無関係とは思えないのです。
どんなものでも、手入れをして大切に使う。
まずこうしたことすら教えらる機会が減った現代では、意図的にそうしたことを住まいに組み込む必要もあると思います。
安易に交換できるものではなく、長く大切に使い、手入れをしていくような住まい。
大人たちのそうした姿勢は、子供たちの心にもちゃんと残ることだと思いますし、現代社会を「たくましく生き抜く力を育む」ことだと思います。
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<編集後記>
大学生の娘が「京都に行きたい!」というので、二人旅に出ることになりました。
幸い、僕は娘に避けられる父ではないようです。
小学生の時にグアムに二人で旅行した写真
こんな笑える娘ですが、久しぶりの二人旅・・・。
(ToT) うれしい・・・。
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