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木造実家リノベの可能性〜築40年以上でも大丈夫?プロが見極めるポイントと注意点

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皆さんこんにちは。駿河屋の 一桝です。

先日、メルマガの読者様から物件購入の時期をご相談頂いた時、お話しの流れで「ご実家」の話しが出て古い木造の実家のリノベは出来ないか?という質問を頂きました。

その際に「実家リノベをする際の注意点」をざっとご説明をしたのですが、このブログを読んでくださる皆様のなかにも、木造の戸建て住宅の購入やリノベを検討している方には必要な情報だと思いましたので、こちらであらためてお話ししようと思います。

目次

1. はじめに:築古木造実家リノベの可能性と注意点

近年、「実家リノベーション」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、古い木造の実家を改修して住み続ける、あるいは二世帯住宅として活用するといった選択肢です。

しかし、築年数の経過した木造住宅のリノベーションには、断熱性や耐震性、耐久性、そして将来的なメンテナンス性など、事前にしっかり確認しておくべきポイントがいくつかあります。

これらの注意点を踏まえた上で検討することで、築古の実家も新たな命を吹き込まれ、快適で安心して暮らせる住まいへと生まれ変わらせることが可能です。

本記事では、築40年以上の木造実家リノベーションを検討されている方に向けて、その可能性と、特に注意すべき点について詳しく解説していきます。

2. なぜ今、実家リノベーションが注目されているのか

実家リノベーションが注目を集めている背景には、経済的な理由や家族のあり方の変化、そして思い出の家への愛着など、様々な要因があります。

経済的なメリットだけでなく、家族の絆を深め、思い出を大切にしながら、自分らしい暮らしを実現できることです。主には以下3つの理由が考えられます。

(1)政府の推奨する二世帯・近居

近年、政府は二世帯・三世代での同居や近居を推奨しています。これは、少子高齢化が進む中で、子育て支援や高齢者ケアを社会全体で支える仕組みの一つとして考えられているからです。

二世帯住宅へのリフォームは、この政府の推奨する住まい方の一つであり、様々なメリットが期待できます。

例えば、

  • 子育てのサポート: 共働き世帯が増える中、祖父母が近くにいることで、子供の面倒を見てもらいやすくなります。
  • 高齢者の見守り: 高齢になった親の安否確認や日常生活のサポートがしやすくなります。
  • 経済的なメリット: 新しい住まいを購入するよりも費用を抑えられる場合が多く、光熱費や生活費の分担、将来的な相続税の節税効果も期待できます。

また、政府は二世帯・三世代同居を支援するために、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「地域型住宅グリーン化事業」といった補助金制度や、固定資産税の減額、贈与税の非課税措置などの税制優遇措置を設けています。これらの制度を活用することで、リフォーム費用を抑えながら、より質の高い住環境を実現することが可能です。(これらの制度は、要件や金額などが変更される場合があるため、最新の情報は、国土交通省のウェブサイトなどを確認するか、専門家にご相談ください。)

こうした背景から、実家を二世帯住宅や近居に適した形にリノベーションすることが、現代のライフスタイルや社会状況に合った賢い選択肢として注目されています。

(2)新しい住まい購入より経済的

実家をリノベーションする大きなメリットの一つは、新築や中古物件を新たに購入するよりも経済的な負担を抑えられる点にあります。土地の購入費用がかからず、既存の建物の基礎や構造を活かせるため、トータルコストを削減できるのです。

例えば、築40年超の二世帯住宅をリノベーションした事例では、約1,500万~2,000万円の費用で、現代のライフスタイルに合わせた快適な住まいを実現している事例も過去にあります。

項目 詳細
建物タイプ 一戸建て(木造)
リノベ費用 1,500万~2,000万円
工期 約4ヶ月
主な工事内容 ・二世帯住宅を一世帯仕様に変更
・水まわり設備の集約
・LDKの移動と拡張
・屋内階段の新設
・耐震補強工事

もちろん、建物の状態やリノベーションの内容によって費用は変動します。しかし、新築物件の購入と比較すれば、予算を大幅に抑えつつ、理想の住まいを手に入れることが可能です。

さらに、リノベーションを機に断熱性の高い二重サッシを導入したり、節水型のトイレに交換したりすることで、月々の光熱費や水道代といったランニングコストの削減も期待できます。実際に、リノベーション後に水道代が安くなったという声も聞かれます。

このように、初期費用だけでなく、長期的な視点で見ても経済的なメリットが大きいのが実家リノベーションの魅力です。

(3)思い出の家を次世代へ引き継ぐ価値

実家は、単なる建物ではなく、家族の歴史が刻まれたかけがえのない場所です。リノベーションを選ぶことは、こうした目に見えない価値を大切にし、次世代へと受け継いでいくことを意味します。

建て替えでは失われてしまう柱の傷や、慣れ親しんだ庭の風景も、リノベーションなら残すことが可能です。親から受け継いだ大切な思い出をそのままに、現代のライフスタイルに合わせた快適な住まいへと生まれ変わらせることで、家の歴史と家族の物語を未来へと繋いでいくことができます。

選択肢 特徴 思い出の継承
リノベーション 既存の家の骨格や良い部分を活かす 思い出や歴史を尊重しつつ、新たな価値を加えることができる
建て替え 基礎から全て新しくする 物理的な痕跡は失われるが、全く新しい家を創造できる

経済的なメリットだけでなく、このような情緒的な価値を重視することが、実家リノベーションが選ばれる大きな理由となっています。

想いの詰まったわが家を、子供世代の未来へ繋ぐことは、何にも代えがたい喜びとなるでしょう。

3.プロが見極める!築40年以上「傷んでない家」の秘密

「築40年以上」と聞くと、多くの人は建て替えを考えるかもしれません。しかし、適切な条件を満たしていれば、リノベーションで十分に快適な住まいに生まれ変わらせることが可能です。ここでは、プロがどのような点に注目して「傷んでいない家」を見極めるのか、その秘密を解説します。

(1)適切な手入れがされているか

築40年以上の実家でも、適切な手入れがされていればリノベーションは十分に可能です。大切なのは、築年数という数字だけで判断しないことです。

例えば、定期的に外壁や屋根の塗装、水回りのメンテナンスが行われてきた家は、構造部分の劣化が少ない傾向にあります。逆に、メンテナンスを怠っていると、雨漏りから柱や梁が腐食したり、シロアリ被害が発生したりするリスクが高まります。

リノベーションを検討する際は、まず親御さんにこれまでの修繕履歴を確認してみましょう。いつ、どのようなメンテナンスを行ったかがわかると、建物の状態を把握しやすくなります。

確認したいメンテナンス履歴 影響を受ける箇所
外壁・屋根の塗装/葺き替え 構造体の腐食、雨漏り
水回りの修繕 床下の湿気、土台の腐食
シロアリ駆除・予防 柱や土台の強度

こうした手入れの有無が、リノベーションの費用や規模を大きく左右します。もし記録がなくても、専門家による住宅診断(ホームインスペクション)で詳しく調査できるので安心してください。

(2)耐久性の高い構造材(ヒノキなど)が使われているか

家の骨格となる構造材に何が使われているかも、家の寿命を左右する重要な要素です。特に、日本の気候風土に適した耐久性の高い木材が使われている家は、築年数が経っていても状態が良い傾向にあります。

代表的なのが ヒノキ(檜)です。ヒノキは伐採後から長い年月をかけて強度が増していくという特性を持ち、その耐久性の高さは世界最古の木造建築である法隆寺によって証明されています。

ヒノキの耐久性の秘密は、以下の成分にあります。

成分 主な効果
ヒノキオール 抗菌・防虫作用
αカジノール 木材腐朽菌の繁殖を抑制

これらの成分が、木材を腐らせる菌やシロアリから家を守ってくれるのです。

ご実家が建てられた当時の資料(設計図書など)が残っていれば、どのような木材が使われているか確認できる場合があります。もしヒノキのような耐久性の高い木材が使われていれば、リノベーションに適した「傷んでいない家」である可能性が高いと言えるでしょう。

(3)湿気の影響を受けていないか(カビ・コケの有無、床下の状態)

築古の木造住宅にとって、湿気は最大の敵です。家の寿命を左右する重要なポイントですので、以下の点をチェックしましょう。

■外壁や基礎の状態

家の外周を歩いて、外壁や基礎部分にカビやコケが生えていないか確認します。特に日当たりの悪い北側は湿気が溜まりやすいため、注意深く観察してください。

■室内のカビの兆候

室内では、壁紙のシミや剥がれ、カビ臭さがないかを確認します。特に押入れやクローゼット、窓際の壁などは結露が発生しやすく、カビの温床になりがちです。

■床下の湿気対策

最も重要なのが床下の状態です。専門家による床下診断をおすすめします。

チェック項目 良好な状態 注意が必要な状態
カビ・腐朽 カビや木材の腐食がない 土台や大引にカビや腐朽が見られる
地面の状態 地面が乾燥している 地面が湿っている、水たまりがある
換気 換気口が確保され、風通しが良い 換気口が物で塞がれている

カビはアレルギーや喘息の原因になるだけでなく、放置すると木材を腐らせ、家の耐久性を著しく低下させます。リノベーション前に専門家による詳細な調査を行い、湿気の状態を正確に把握することが、安心して住み続けられる家づくりの第一歩です。

4.築古木造実家リノベーションで特に注意すべき4つのポイント

(1)注意点①:断熱性(暑い・寒い)

築40年以上の実家リノベーションで特に注意したいのが、断熱性です。「昔の家だから夏は暑く、冬は寒いのは当たり前」と思っていませんか?しかし、その「当たり前」が、健康や家計に大きな影響を及ぼしている可能性があります。

実は、日本の既存住宅の8割以上は、2025年から新築で義務化される省エネ基準(断熱等級4)に達していません。これは、壁の中に断熱材が入っていない、あるいは経年劣化していることが主な原因です。断熱性が低い家は、冷暖房の効きが悪く光熱費がかさむだけでなく、部屋ごとの温度差が引き起こす「ヒートショック」のリスクを高めます。

イギリス保健省は、健康を維持するための推奨室温を以下のように定めています。

室温 健康への影響
21℃ 推奨室温
18℃ 許容できる室温
16℃未満 呼吸器系疾患への影響
9~12℃ 血圧上昇・心血管疾患リスク

リノベーションを機に断熱性能を見直すことは、快適な暮らしと家族の健康を守るための重要な投資です。壁全体を工事するのが難しい場合でも、断熱効果の高い二重サッシに入れ替えるなど、コストを抑えた対策も可能です。

壁内部の断熱材の有無や劣化状況

築40年以上の実家の場合、壁の中に断熱材が入っていない、あるいは入っていても性能が低下している可能性があります。特に1992年(平成4年)に省エネ基準が改正される前の建物は、断熱に対する考え方が現在とは異なり、無断熱であることも珍しくありません。

断熱材の有無や状態を確認する主な方法は以下の3つです。

確認方法 詳細
図面で確認 「矩計図(かなばかりず)」や「仕上げ表」といった設計図書で、使用されている断熱材の種類や厚みを確認できます。
目視で確認 点検口やコンセントプレートを外して壁の内部を直接見ることで、断熱材の有無や種類、カビの発生といった劣化状況を確認できます。
専門家による診断 リフォーム会社や建築士に依頼し、専門的な機器(サーモグラフィーなど)を使って壁内部の状態を正確に調査してもらいます。

目視で確認できるのは一部に過ぎません。家全体の断熱性能を正確に把握するためには、専門家による建物診断(ホームインスペクション)を受けることをおすすめします。診断によって、断熱材の劣化状況だけでなく、壁内結露の有無といった目に見えない問題も明らかになります。

コストを抑える断熱対策(二重サッシなど)

築古住宅の断熱性を高めるには、壁や天井に断熱材を入れる大規模な工事が必要と思われがちですが、もっと手軽にコストを抑えて対策する方法があります。それが「二重サッシ(内窓)」の設置です。

二重サッシとは、既存の窓の内側にもう一つ窓を取り付けるリフォームです。壁を壊す必要がなく、1箇所あたり最短30分~1時間程度で施工が完了します。

費用は窓のサイズや性能によって異なりますが、目安は以下の通りです。

窓のサイズ 費用目安(1箇所あたり)
小さい窓(腰高窓など) 4万円~6万円
一般的な窓 8万円~15万円

大規模な断熱工事に比べて費用を大幅に抑えられるだけでなく、複数の窓をまとめてリフォームすると、さらに費用が割安になるケースもあります。

また、二重サッシは断熱性向上による冷暖房効率アップはもちろん、結露防止や防音対策にも効果が期待できます。国や自治体の補助金対象となる場合も多いため、上手に活用すればさらに負担を軽減できるでしょう。

(2)注意点②:耐震性

築40年以上の実家で特に注意したいのが耐震性です。

1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法が大きく改正され、耐震基準が厳しくなりました。そのため、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」で建てられている可能性が高く、震度6強から7程度の大地震で倒壊する危険性があります。

基準 建築確認日 想定される地震の揺れ 想定される被害
旧耐震基準 1981年5月31日以前 震度5強程度 倒壊しない
新耐震基準 1981年6月1日以降 震度6強~7程度 倒壊しない

また、木造住宅の場合、湿気による腐食やシロアリ被害によって構造材が劣化し、耐震性が低下しているケースも少なくありません。

リノベーションで間取り変更や壁の撤去を行う際は、必ず耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事を行いましょう。特に、断熱工事と耐震補強は壁を剥がす工程が共通しているため、同時に行うと効率的でコストを抑えられます。

旧耐震基準(1981年5月以前)の建物

築40年を超える木造の実家をリノベーションする場合、その建物がいつの建築基準法に則って建てられたかを確認することが極めて重要です。

特に、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」で設計されています。

旧耐震基準は、震度5程度の地震で建物が倒壊しないことを想定した基準です。しかし、近年頻発している震度6強以上の大地震に対しては、倒壊や大規模な損壊のリスクが高いと考えられています。

耐震基準 施行年 想定される地震の規模
旧耐震基準 1981年5月31日以前 震度5程度の中規模地震
新耐震基準 1981年6月1日以降 震度6強~7の大規模地震

ご実家が旧耐震基準の建物であるかどうかは、建築確認済証の日付で確認できます。もし書類が見つからない場合でも、専門家による耐震診断で建物の安全性を詳細に調査することが可能です。リノベーションを検討する際は、まずこの耐震基準の確認から始めましょう。

シロアリ被害の可能性

築40年以上の木造実家リノベーションにおいて、耐震性と並んで深刻な問題となるのがシロアリ被害です。雨漏りと異なり、シロアリ被害は床下や壁の内部で静かに進行するため、気付いた時には構造材が深刻なダメージを受けているケースが少なくありません。

特に、昔ながらの木造住宅は、柱や束が地面に近い「石場建て」が多く、シロアリが侵入しやすい構造になっています。シロアリは湿気を好むため、床下の風通しが悪い家は特に注意が必要です。

シロアリが好む環境 具体的な状況
湿気が多い場所 床下の通風口が塞がれている、水回りの水漏れ
地面に近い木材 石場建ての柱、地面に直接触れている木製の土台

リノベーション前の詳細な調査でシロアリ被害の有無を確認し、もし被害が見つかった場合は、被害箇所の修繕・交換と合わせて、今後の被害を防ぐための対策を講じることが不可欠です。例えば、被害にあった柱を交換する「根継ぎ」や、湿気に強いヒノキ材への変更、床下換気の改善などが有効な対策となります。

耐震補強と断熱工事の同時実施

築古の実家リノベーションでは、耐震補強と断熱工事を同時に行うことが、費用と工期の両面で大きなメリットをもたらします。なぜなら、どちらの工事も壁や床、天井などを一度解体する必要があるためです。

例えば、以下のような工事は同時に進めることで効率が上がります。

  • 壁の補強(耐震)と断熱材の充填(断熱)
  • 屋根の軽量化(耐震)と屋根の断熱工事(断熱)
  • 基礎の補強(耐震)と床下の断熱工事(断熱)

これらの工事を別々に行うと、解体と復旧の作業が二度手間になり、その分の費用と時間が余計にかかってしまいます。特に、足場の設置が必要な屋根や外壁の工事は、一度にまとめて行うことで足場代を大幅に節約できます。

工事内容 同時実施のメリット
壁の工事 壁を剥がす作業が1回で済む
屋根の工事 足場の設置が1回で済み、費用を削減できる
床下の工事 床を剥がす作業が1回で済む

このように、計画的に工事を組み合わせることで、コストを抑えながら、安全で快適な住まいへと効率よく生まれ変わらせることが可能です。

(3)注意点③:耐久性

実家の耐久性を考えるとき、築年数だけで「リノベーションできる・できない」を判断するのは危険です。特に木造住宅の耐久性に大きく影響するのが「湿気」です。湿気は、家の土台や柱といった構造上重要な部分を腐らせる原因となります。

以下のチェックポイントで、ご実家の状態を簡易的に確認してみましょう。

チェックポイント 確認する場所・内容
カビ・コケの有無 外壁の日当たりの悪い場所、浴室や北側の部屋の壁など
床下の状態 床下の換気口から見える範囲で、地面が湿っていないか、木材が変色していないか
雨漏りの形跡 天井や壁にシミができていないか

これらの兆候が見られる場合、見た目以上に劣化が進行している可能性があります。

正確な劣化状況を把握するためには、専門家による「ホームインスペクション(住宅診断)」が不可欠です。プロの目で床下や小屋裏まで詳細に調査してもらうことで、必要な補修範囲が明確になり、安心してリノベーション計画を進めることができます。

築年数だけでは判断できない理由

「築40年の家でもリノベーションできるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。結論から言うと、リノベーションの可否は築年数だけで一概に判断できません。

なぜなら、家の状態は築年数よりも、これまでのメンテナンス状況や管理状態に大きく左右されるからです。

例えば、定期的に手入れされてきた築50年の家が、ほとんど手入れされていない築30年の家よりも状態が良い、というケースは珍しくありません。

国土交通省の調査によれば、木造住宅の平均寿命は、かつて言われていた30年ではなく、約65年というデータもあります。

建物構造 かつての寿命目安 国交省調査による平均寿命
木造 約30年 約65年

これはあくまで平均値であり、適切なメンテナンスを続けていれば、さらに長く住み続けることも可能です。

つまり、築年数が古いからといって諦める必要はありません。大切なのは、建物の劣化具合を専門家に正しく診断してもらうことです。

湿気による劣化の兆候と調査の重要性

木造住宅の耐久性を考える上で、築年数よりも重要なのが「湿気による劣化」の有無です。湿気は木材を腐らせるだけでなく、シロアリの発生原因にもなり、建物の強度を著しく低下させます。

リノベーションを検討する際は、まずご自宅に以下のような湿気のサインがないか確認しましょう。

確認場所 劣化の兆候
室内 壁や天井のシミ、壁紙の剥がれ、カビの発生、床のきしみや沈み
屋外 外壁のコケやカビ、基礎部分のひび割れ
床下 土の湿り具合、カビ臭、木材の変色

これらの兆候が見られる場合、専門家による詳細な調査が不可欠です。床下や壁の内部など、目に見えない部分の状態を正確に把握することで、必要な補修・補強工事を見極め、安全で長持ちする住まいへと生まれ変わらせることができます。

(4)注意点④:メンテナンス性

リノベーションで快適な住まいを手に入れても、その後の暮らしやすさを維持するためには「メンテナンス性」が非常に重要です。特に築40年以上の木造住宅は、現代の住宅と比べて定期的な手入れが不可欠な場合が多く、修繕計画を立てておくことが大切です。

メンテナンスとは、住宅という「資産」の価値を維持し、安全で快適な状態を長く保つための点検や修理のことです。これを怠ると、住宅の劣化が早まり、結果的に大規模な修繕が必要となって余計な費用がかかることもあります。

具体的には、以下のような箇所の定期的な点検と修繕計画を立て、必要な費用を計画的に準備しておくことをおすすめします。

メンテナンス箇所 修繕の目安時期
外壁の塗装・補修 10年~15年
屋根の葺き替え・補修 15年~25年
バルコニー等の防水工事 10年~15年
シロアリ対策(防蟻処理) 5年~10年

リノベーションを機に、将来のメンテナンスまで見据えた素材選びや設計をすることで、長期的に見てコストを抑え、安心して住み続けられる家になります。

昔の木造住宅の定期的なメンテナンスの必要性

昔の木造住宅は、現在の住宅と比較すると、使われている建材や技術の違いから、より定期的なメンテナンスが長持ちの秘訣となります。特に、築40年以上の実家となると、意識的に手入れをしてこなかった場合、様々な箇所で劣化が進んでいる可能性があります。

マンションであれば管理組合が共用部分の修繕計画を立ててくれますが、戸建ての場合はすべて自己責任です。計画的にメンテナンスを行わないと、いざという時に大きな出費が必要になったり、家の寿命を縮めてしまったりする恐れがあります。

具体的には、以下のような周期で点検・メンテナンスを行うのが理想的です。

メンテナンス周期 主な点検・修繕箇所
5年ごと ・防蟻処理の効果確認
・屋外の木部・鉄部の状態確認
10~15年ごと ・外壁や屋根の塗装・補修
・シーリングの打ち替え
・給湯器などの設備交換
20~30年ごと ・外壁・屋根の張り替え
・水回り全体のリフォーム

特に、自分では確認が難しい屋根や床下などは、5年を目安に専門業者に点検を依頼すると安心です。大切な実家を長く維持していくためには、計画的なメンテナンスが不可欠と言えるでしょう。

外壁、屋根、防水などの修繕計画と貯蓄

昔ながらの木造住宅は、適切な時期にメンテナンスを行うことで、その寿命を大きく延ばすことができます。特に、雨風に直接さらされる外壁や屋根、そして建物を湿気から守る防水工事は、家の耐久性を維持する上で非常に重要です。

これらの修繕にはまとまった費用が必要となるため、あらかじめ長期的な修繕計画を立て、計画的に資金を積み立てておくことが賢明です。

マンションの大規模修繕の例を見ると、築年数に応じた修繕内容と費用の目安が示されています。これを参考に、戸建て住宅でも将来必要となるメンテナンスを予測し、備えることができます。

築年数(目安) 主なメンテナンス内容
10年~15年 外壁塗装、屋根の葺き替え・補修、防水工事(ベランダなど)
20年~30年 上記に加え、給排水管の点検・交換など

もちろん、これはあくまで一般的な目安です。建物の立地条件や使用されている建材によって劣化の進み具合は異なります。定期的に専門家による診断を受け、ご自身の家の状態に合わせた修繕計画を立て、計画的な貯蓄を心がけましょう。

5.実家リノベーションを成功させるためのステップ

(1)家族間の十分な話し合い

実家リノベーションを成功させる最初のステップは、家族間の十分な話し合いです。リノベーションは、単なる家の改修ではなく、家族の将来の暮らし方や資産の承継にも関わる重要な決断だからです。

親世代と子世代では、住まいに対する希望や価値観が異なることも少なくありません。後々のトラブルを避けるためにも、元気なうちにお互いの想いを共有する「家族会議」の場を設けましょう。

会議では、以下のような議題について具体的に話し合うことが大切です。

話し合うべき主な議題 確認事項の例
リノベーション後の暮らし方 誰が住むのか(単世帯、二世帯など)
費用負担の割合 親と子でどのように費用を分担するのか
将来の相続 家を誰が引き継ぐのか、他の相続人との合意はとれているか
介護や老後の希望 親が将来どのような暮らしを望んでいるか

感情的にならず、お互いの意見を尊重することが重要です。話し合いがまとまりにくい場合は、第三者である専門家に同席してもらうのも良いでしょう。

(2)建物の詳細な調査・診断

実家リノベーションを成功させるためには、まず建物の現状を正確に把握することが重要です。特に築40年以上の木造住宅では、見た目だけでは判断できない劣化が進んでいる可能性があるため、専門家による「建物診断(ホームインスペクション)」を受けることを強く推奨します。

建物診断では、専門家が以下のような項目を詳細に調査します。

部位 主な調査項目
躯体 柱や梁のひび割れ、傾き、基礎の劣化状況
屋根・外壁 雨漏りの痕跡、外壁材のひび割れ、シーリングの劣化
床下 湿気、カビの発生、シロアリ被害、土台の腐食
設備 給排水管の漏水や劣化、電気配線の状態

診断結果は報告書にまとめられ、リノベーションの可否や必要な工事内容を判断するための客観的な資料となります。この診断に基づき、無駄のない修繕計画を立てることが、リノベーション成功の第一歩と言えるでしょう。

(3)信頼できるリノベーション会社選び

実家リノベーションを成功させるためには、信頼できるパートナー選びが不可欠です。リノベーション会社には、大きく分けて以下の4つの種類があり、それぞれに得意分野や特徴があります。

会社の種類 特徴
リノベーション専門会社 物件探しから設計、施工まで一貫して対応。デザイン性の高いリノベーションが得意。
ハウスメーカー 大規模リフォームから小規模修繕まで幅広く対応。全国展開で安心感があるが、費用は高めになる傾向。
工務店 地域密着型で小回りが利く。会社ごとに得意分野が異なるため、見極めが必要。
設計事務所 デザイン性を重視し、オリジナリティの高い空間を実現。設計・監理に特化。

これらの特徴を理解した上で、自分たちの要望に合った会社を選ぶことが重要です。例えば、デザインにこだわりたいならリノベーション専門会社や設計事務所、地域に根差した手厚いサポートを求めるなら工務店といった視点で検討しましょう。

また、会社の規模だけでなく、担当者との相性も大切なポイントです。複数の会社から話を聞き、提案内容や対応の丁寧さを比較検討することをおすすめします。

(4)資金計画と補助金・減税の活用

実家リノベーションを成功させるためには、周到な資金計画が不可欠です。工事費用だけでなく、将来のメンテナンス費用も見据えて、余裕を持った計画を立てましょう。

リノベーションでは、国や自治体が提供する補助金や減税制度を積極的に活用することで、経済的な負担を大幅に軽減できます。特に、省エネ性能を高めるリフォームは、多くの補助金の対象となります。

例えば、以下のような制度が利用できる可能性があります。

制度名 内容(例)
子育てエコホーム支援事業 省エネ改修などを行う子育て・若者夫婦世帯等に補助金を交付
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 高性能な断熱材や窓への改修費用の一部を補助
長期優良住宅化リフォーム推進事業 住宅の性能向上リフォームに対して補助

これらの補助金は、申請期間や予算に上限があるため、早めに情報を収集し、リノベーション会社に相談しながら計画を進めることが重要です。また、自治体独自の補助金制度が用意されている場合もあるため、お住まいの市区町村の窓口にも確認してみましょう。

6.まとめ:状態の良い実家ならリノベで新たな命を吹き込める

核家族化や都市部への人口集中により、全国的に空き家問題が深刻化しています。特に、築40年以上経過した木造の実家は、住む人がいなくなると急速に劣化が進み、景観の悪化や倒壊リスクなど、様々な問題を引き起こしかねません。

しかし、適切な手入れがされてきた「傷んでいない家」であれば、リノベーションによって新たな価値を生み出すことが可能です。思い出の詰まった実家を、次世代が快適に暮らせる住まいへと生まれ変わらせることは、経済的なメリットだけでなく、家族の絆を深める上でも大きな意味を持ちます。

もちろん、リノベーションには費用がかかり、建物の状態によっては予想外の出費が発生することもあります。

リノベーションの注意点 対策
予想外の修繕費用 事前の詳細な建物調査
理想の間取りが実現できない可能性 構造を熟知したプロへの相談
かけた費用を回収できないリスク 周辺の市場調査と適切な資金計画

これらのリスクを回避するためには、信頼できる専門家と共に、建物の状態を正確に把握し、綿密な計画を立てることが不可欠です。状態の良い実家であれば、リノベーションは空き家問題を解決し、大切な家に新たな命を吹き込むための最良の選択肢となるでしょう。

7.本記事の情報提供者について

株式会社 駿河屋 代表取締役 一桝靖人

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