こんにちは、スタッフの新田です。

美味しい新茶の季節ですね。

まちの木々もだんだん緑を増してきました。

さて、4月の終わりに、駿河屋の大工棟梁である新井さんの作業場へお邪魔してきました。

というのも、現在 山梨にて ”手刻みの家”を建築中。

貴重な機会です。

是非みなさまにも見ていただきたい、と、構造見学会を開催させていただいたのです。

墨田区（駿河屋の事務所）から車で約３時間。

新緑で賑わう山々の麓に、その作業場はありました。

道すがらのフルーツ農園はまだシーズン前、

ここ？と思うような細道を入って進んでいくと、

それらしき所から新井さんが笑顔で迎え出てくるのが見えました。

車を降りると、雨上がりの少しゆるい風。

そして、鳥たちの可愛らしいさえずりが聞こえます。

そんななか、和やかに「手刻みの家　構造見学会」がスタートしました。

『まず、手刻みとは？』

これは、駿河屋イベントページにもとてもわかりやすい説明があります。

が、簡単にいうと、

木造軸組工法の家で、柱・桁・梁などの骨組みは、

それぞれの接合部に「継ぎ手」・「仕口」とよばれる凸凹の加工を施し、それを組み上げて作ります。

その加工を、

ノミやカンナを使って手作業で行うのが『手刻み』です。

一方、

工場の機械で一気に加工するのが「プレカット」です。

技術の進歩とともに このプレカットがどんどん普及し、

時間の大幅な短縮、そして、コストの削減も実現されました。

今ではほとんどの木材が、工場でプレカット加工されているのだそう。

『それではなぜ、手刻みを？』

ですよね。

昔は当然ながらすべて手で加工していて、”手刻みができる、それが大工” だったのだそう。

しかし、プレカットが主流になって、手刻みの技術が衰退。

今では手刻みができる大工さんは ほとんどいなくなっているのだとか。

が、

「木材は 自然の産物ゆえ、ひとつひとつの材が 癖も違い、状態も異なります。

それを見極め、適材適所に材を配し、それぞれにぴったりな加工や調整を施していく。

これこそが経験や知識のある大工のなせる技で、

これは、工場で一気に生産するプレカットにはできないことだ」

と新井さんは語ってくれました。

なるほど。

手刻みでこそ生かせる 木 本来の力、家づくりの技が確かにありそうですね！

わくわく感がふくれ上がってきたところで、いよいよ実演です。

今回建築中の作業場の図面。

横に長くのびる材、これを数本、長さを継ぎ足して作ります。

そんな継ぎ手の２手法を、紹介してくれました。

一つ目は、

「鎌継ぎ（かまつぎ）」。

突き出た部分と凹みの部分を組み合わせる継手です。

接合部に勾配を付け、ずれない工夫もなされています。

が、新井さん曰く、

この継手よりもこちらの方が強くていいのだとか。

それがこちら。

「追掛け（おっかけ）」です。

まだ片側だけ、組み合わせるもう一方の加工がされておりません。

今回はそちらを手刻みしていきます。

が、

お話が少し長くなりそうなので、その様子はまた次回に！

続きをお届けしたいと思います！

（あとがき）

新井棟梁の作業場近くに、“乾徳山（けんとくさん）”　という山があります。

それについて、

「乾徳山、すぐ近くなんですねぇ」とお話ししたら、

「けんとくさん？知らないなぁ」と。

あれ、すぐ近くなのに、知らないはずはないんだけど・・・と よくよく話を聞いたら、

「あぁ、乾徳山ね！

発音が違うんだよ。

『けんとくさん』って、人の名前みたいだけど、そういう風に言うの！」

と。

えぇー、そうだったんだぁ！

わたしはずっと、『けんとくさん』って呼んでいました。

発音が違うだけで こうも伝わらないものなんですねぇ。