先日は所属する山岳会の先輩と一緒に
谷川の美渓「赤谷川」へ行ってきました。
厳しい渓を越えるとそこは噂に勝る天国でした。
目次
「え・・・なんでそんなちっちやいザックなんですかっ!?」
前日は川古温泉駐車場に泊まり。
早々に入山祝いの酒を済ませシュラフカバーに潜り込み
「まー ヤバい滝は全部巻いちゃえばいいでしょ」
そう言ったか言わずかのうちに眠りに落ち
熟睡した瞬間、夜が明けた。
沢では80Lを背負ってたことが多かったのだが、
今回は宴会道具を持っていって登れないと
絶対に高山隊長に叱られるので
50Lのザックになった。
なんか小さすぎて忘れ物がないか不安である。
ところが高山隊長のザックをみると、やたらと小さい!
「は!?25L!?」
そんな中に一体何が入っているのか!?
しかも下山用のシューズやハーネス、ギアも入ってるらしい・・・。
「イチマスさんはぁ ロープだけ持って下さい。
でも滝が出てきたら僕が持つんですけどね ウッシッシ!」
隊長も自分の毒舌に勝手にテンションが上がって来た。
嫌な予感がしてきた。
いよいよ遡行開始。
久しぶりの「お泊まりの沢」は気持ちよくて気分もアガる。
「赤谷川本谷」は滝群を越えると、まるで天国のようらしい。
大好きな南会津の沢も、
素敵な草原とお花畑と池塘があって天女が舞い踊っていた。
赤谷川の源頭部もきっとそうかもしれない。
ぼーっとそんな事をニヤニヤ考えなが林道をあるくと
あっというまに出合に到着した。
いよいよ入渓である。
覚悟の時である。
渓は明るく、轟々と言っている。
でも水量は少ない方なんだろう。晴天つづいてるし。
早速、「マワット下のセン」が見えてくる。
20mの滝・・・うーん まあまあデカイ。
なんだか久しぶりなのでキンチョーしつつ越える。
次に「マワットノセン」が現れる。
15mの滝は結構手強そうだが、
隊長のルートを真似しつつ登ろうと思うのだが
ムーブが特殊すぎてまね出来ず、自力で登り
巨岩帯に突入した。
滝の落ち口から釜を見下ろすと、熊穴沢が見える
巨岩体、それはボルダリング天国
「大きな石がでたらめに積み重なり
そこに5m、8mの滝がかかり
ルートを探すのに右往左往する」
そう、ガイドブックには書いてあった・・・。
まさに自分がアリになったような
家一軒分の巨岩などが積み重なっていて
弱点を見つけるのが結構大変。
高山隊長は俄然鼻息が荒くなって前しか見えていない。
嫌な予感通り、どんどん突き進んでいってしまう。
こっちは必死に登るのだが
ずりずり落ちてしまう。
「蜘蛛の糸」の罪人のように呆然と天を仰いでいると
するするとお助け紐が降りてきた。
いやな感じなんですけど
巨岩帯もゴルジュの様相を強く見せはじめ
いやらしいトラバースにさしかかる。
あーコレ落ちても平気カモ
でも落ちたくないカモ
嫌な予感が頭をよぎりながら
サッサと蜘蛛のようにトラバースする高山隊長を追った。
なんか嫌な感じのトラバースなんですけど!!
落ちると深そうだな~・・・。
落ちたときにザックで後頭部押されて
ヘルメットで前が見えなくなることを恐れ
ウエストベルト外してヘルメット取っておこうかな・・・。
と思うのだが時はすでに遅し・・・。
両手がふさがり、身動きが取れなくなってきた
「ヤバイ!ヤバイ!マジ落ちるんですけど!」
と思ったら
ズリズリズリ!!!!!ドボーーーン!!
「・・・僕は今ドボンしたんだなぁ・・・」
いつまでも水面に上がってこないのにやけに落ち着いて
「山下清」の裸の大将的言葉が脳裏に浮かぶ。
「ばぁーーーーっ!」
水面に出ていきなり意識が覚醒した!
ザックの雨蓋に後頭部を押されて
ヘルメットが後ろから突き上げられて
前が見えない!
まさに「ロボコップ」状態!
だめだめだめ焦っちゃダメ。
ヘルメット外しまーす!
ザックはずしまーす!
と確認しながら1つずつ行い一息入れる。
ふーーーーっ
無事にヘルメットの目隠しが取れて
ぷかぷか浮いているが、どうしても滝壺に吸い寄せられ
平泳ぎとヘルメットでジャブジャブ漕いで滝を離れる
上をみると隊長が
「うっしゃっしゃっ!!」
とは笑わず、さすがに心配そうに
「大丈夫ですか~・・・」
と、半ば面倒くさそうに聞いてきたので、
OKマークを出してゴルジュの中をどんぶらこと下ってきた。
防水バックに入れてない2日分のパンが心配でならない。
高山隊長はイイ人だ。
ゴルジュ入口のゴーロで荷物を整理していると
口元をピクつかさた高山隊長が戻ってきた。
「大丈夫ですか!むひひ」
「大丈夫です!」と元気に言いたいがショックを隠せない
「ところで今回の記録、どっちが書きますかぁ ひひひ」
敗戦の兵に戦争の記録を書かせる気の高山隊長の口元は
黄色い笑みを浮かべていた。
この状況で、この質問。
高山隊長はいい人だ・・・。
テキトーに言い訳をしたあと
高山隊長のフォローでトラバースを越え
家のような巨岩をいくつも越え
ボルダリング大会に手がパンプしはじめたころ
巨大な裏越ノセンが現れた。
高山隊長は登りたくてしかたないのだ。
うーんデカイ ・・・。
ここはロープ出してほしい。
そんな事を思っていると、高山隊長はジャブジャブと淵を進み、
取り付きに立った。
どうやら「裏越し」してみたいらしい
隊長が通ると異様に滝のデカさが際立つ
ゴマのように小さい隊長が見えるだろうか。
「たのしーですよぉぉぉぉぉ~」
と言っているのがハッキリ聞こえたが
聞こえないふりをする。
僕はまだ体力をそんなところでムダ使いしたくないのだ。
右岸から左岸に「裏越し」をしながら左岸のバンドから這い上がる。
こちらはバンドの端で待機すると、しばらくして笛が鳴った。
登ってこいの合図だ。
ロープを出すのはいいけど、落ちたら滝側に振られるな・・・。
そしたら
「滝側クリステルイチマス」
とか、
隊長にからかわれたら嫌だな
などとブツブツ考えながら、慎重に進む。
じりじりと確実に進み、滝の落ち口まで到達して
ハーケンとシュリンゲを残置しながら上流側にはいずり上がる。
足下が確保できたところで対岸に渡った。
「ふーーーーーーーっ ありがとう御座います!」
と感謝の気持ちを素直に伝えながら、心の中では
「すごく怖かったんですけど!!」と何度もシャウトした。
あとで聞いたのだが、右岸のザレからの巻があるのだが
「これは登るしかないでしょおお!と勝手に登っちゃいました テヘ」
と言われてぐうのねも出なかった。
高山隊長は登りたくてしょうがないのだ。
ゴルジュからぼたもち
丹沢や奥多摩あたりでは立派な滝も
ここでは名も無き滝になっている。
そんな滝をいくつか越えると、廊下のようなゴルジュの先に
雪渓からの煙をあげるドウドウノセンが見えた。
ゴルジュの上には雪渓が饅頭のように乗っかり
その奧にはズタズタの雪渓が折り重なり
奧にわずかにドウドウセンの入口が見えた。
あの下通過するのありえない。
あの形、笑うしかない。
最初から突破する気はないので、戻って枝沢から大高巻きに入る。
この高巻き、結構大変だったので、写真撮れませんでした。
そして高巻きあとの、やっと眼下に天国が見えた!
しかしここのスラブの大下降もいやらしい。
いくら下っても降りてこられない。
一歩一歩が非常に嫌らしい。
懸垂を3度交えながら、トラバースを交えてゆっくりと下降していく。
下降に時間を要した大スラブ。見た目よりかなり悪い
ドウドウノセンの上はやはり天国だった。
無事に天国のような河原に降り
今日の無事を固い握手で祝う。
「ドウドウセン」の落ち口を見に行きましょう
ということになり近付くが、
巨大洗濯機を上から見ているようだ。
落ち口が無く、大淵のソコが抜けているのだろうか。
隊長はこんなことして遊んでいる。
俺は絶対やりたくない。
働き者の隊長は、薪をバリバリ調達してきて
今晩は立派な焚き火を囲んで
美味い酒が飲めた。
遠くで時折、ドウドウセンが大量の水を飲み込む
恐ろしい音が木霊していた。
今日も命がありました。
神様本当にありがとう。
天国への階段
渓相は昨日とはうってかわって穏やかになる。
大高巻きで違う沢に下降してしまったのか
はたまた、入系地点に戻されたのか
と思う程穏やかだ。
ガイドブックには、
「赤谷川」の上部だけでも楽しむ価値がある。
と書かれており
「それはないでしょう!やっぱり登らないと!」
と二人で話しながら渓を登っていくと
だんだんと「ソレもありではないか」と思うほど美しくなっていく。
谷川ロープウェーでビール1ケース担いで
ここで焚き火しながら二泊してもいいくらいの天国であった。
途中のナメ滝では、またもや隊長がはしゃぎ始め
しかたなく動画で撮影してあげた。
ジャブジャブと明るい沢を登っていると
体中から幸福感がにじみ出てきて
自然と感謝の気持ちにつつまれて来る。
これだから沢はやめられないなぁ
笹の藪漕ぎで稜線を目指す。
少々バテ気味の僕を待ちながら
ゆっくりとオジカ沢の頭についた。
肩の小屋から下降しはじめると
と高山隊長の携帯に着信が。
同日、谷川の東尾根単独登攀をしていた赤岡さんが
僕らのことをピックアップしてくれるという。
嬉し過ぎて「赤岡さんって神様だ!」と二人で
西黒尾根をスキップして下山したら
僕だけ捻挫してしまいました・・・。
疲れているのに、こんな事もやらされます。
(水平なとこでやらされて、画像を90°まわしてます・・・。)
沢の下山祝いは当然カツカレーです。
高山隊長、充実した山行をありがとう御座いました!
赤岡さん、ピックアップありがとう御座いました!
帰りの関越道は渋滞にもかかわらず、
充実した山旅に口元はにやけっぱなしだった。
※遡行図、記録は他に沢山あるので割愛します。
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<編集後記>
10年ぶりくらいに厳しい渓に入りました。
厳しい渓でしたが、その先の美しいこと!!!
色々と危険を伴う沢登りですが
年間通して人がまず入らない場所に行けるので
原始の香りを肌で感じることが出来ます。
焚き火を見ながら美味い酒を呑んで
そのままごろ寝するのは
僕にとって貴重な至福の時間です。
沢登りに興味が湧いてきた!!という方
シーズもそろそろ終わりですが、来年から挑戦しませんか?
をお読み下さい。
駿河屋の九代目がお送りする、天然素材・自然素材住宅のホント
幸せの住まい作り最初の一歩を間違えない為の
★産直の厳選素材住宅 自然素材住宅・珪藻土・無垢の木なら創業1657年 駿河屋
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