木造住宅を大規模にリノベーション(フルリフォーム)する場合には、耐震補強や断熱も同時にやることをおすすめします。
しかし、耐震補強を行う場合には、しっかりとしたノウハウのある専門家が、耐震診断を行うことが重要です。
耐震診断では、ただ補強するという考えではなく、既存の劣化部分や年代ごとの建物の特性などを理解しながら調査することが非常に大事なのです。
今日は木造住宅の耐震補強をするうえでの診断について重要なことをお話しします。
制震ダンパーを使って制震構造にする
耐震補強というと、金物を強固に取り付け補強することにばかり目が向きがちですが、金物を取り付けて強くするだけが耐震補強ではありません。
金物は正しい現状の診断と、補強計画にもとづいて、必要に応じて強度を確保するための補強手段の1つです。
まずはじめに行うのは、建物の耐震性能や問題点を調べる耐震診断が必要です。
ここで重要なのは、いかに建物の特徴をつかむかが大切になります。
効果的で効率的な耐震補強をするためには、この耐震診断がとても重要になります。
その耐震診断の結果に基づき補強計画やリノベーション(フルリフォーム)を考えることが必要です。
主にカギとなってくる診断の要点は以下の3つです。
1)生物的劣化(シロアリ、腐朽菌による被害)
2)地盤・基礎の調査(湿気やコケ、蟻道やクラック、沈下など)
3)壁・床・接合部の強度(※これはまたの機会にお話しします)
築30年を越えてくると様々な部分が劣化してくる場合が多いものです。
なので、ある程度年数の経過した住宅の場合には、経年劣化している部分の調査も平行して行わなければならないのです。
特に浴室まわりなどの「水まわり」と呼ばれる部分の調査はとても重要です。
漏水や結露などにより腐朽菌が発生して腐ったり、湿気でシロアリが寄ってきていたり、生物的劣化を招きやすい場所だからです。
同時に、床下の湿気やカビ臭さも重要なヒントになりますし、壁面や天井のカビや漏水跡も、土台まで水がまわり、腐朽菌や白蟻の被害を受けている場合もあります。
こうした劣化した構造体に補強を行っても、応力をしっかりと伝達することができずに、地震に耐えることは出来ません。
劣化した部分はしっかりと取り替えて、補強工事を行わなければ意味がないのです。
古い木造住宅は、地盤調査されずに建てられているケースもあります。
なので、敷地の地盤面の高低差を計測したり、雨水が建物基礎側に流入していないかを、よく見る必要があります。
地盤面が下がり、雨天時には隣地からの水が建物の下部に流れ込むという事例では、住宅の床下のカビや劣化が進んでいました。
こうしたケースもありますので、地盤と隣地の関係や道路との関係も、調査の際に雨天を想像して見てみることが重要なのです。
基礎に関しては、古い住宅は独立基礎が一般的でした。
昭和25年の建築基準法制定後も、外部は布基礎、内部は独立基礎でした。
昭和46年以降になって、内外ともに布基礎になりました。
しかし、昭和60年以前の基礎は鉄筋が入っていない無筋コンクリートのことが多いです。
このように木造住宅の基礎にも時代によって仕様が移り代わってきているのを、よく理解しておく必要があります。
また、築20年以上の木造住宅は、基礎に対する認識が甘く、基礎の形状に問題があるものも多いです。
特に布基礎の形状やアンカーボルトと土台の位置関係もおかしなものがあるので、その場合には打ち替えたりしなければなりません。
必ずしも現状のものは現状のままで、そこにプラスするのが耐震補強や基礎補強ではないということです。
木造住宅の耐震補強は、ただ建物を金物をつけて強くするというだけではいけません。
古い建物の現状を正しく調査することが一番最初に必要になります。
その調査では、生物的劣化や、基礎や地盤の状態、柱や梁の接合部などをしっかりと確認をします。
古い物件は年代毎に特徴があるので、そうした特徴を踏まえて現況を調査し想像することも重要となります。
現況を正しく認識しながら、必要であれば既存部分のやり替えを含めて、全体的な耐震計画を立てることが重要です。
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<編集後記>
今日は経営者仲間と勉強会です。
浅草のとあるお店を訪れて、実践していることを勉強させてもらい、会議室にうつって勉強会。
その後は浅草だけに神やバーで懇親会です。
もはや僕の右腕になりつつある雪村とともに、ますますお客様のお役にたてるよう頑張ってきます!
駿河屋を知らない人がまず最初に読む「駿河屋の想い」
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