地震に対する建物の強さは
実は自由に決められるのです。
一般的に言われている強さは「1.0」
これは建築基準法で決められた最低の強度です。
また、自治体の補助金を使う上で求められる
最低限補強で住宅を強くしなければならない
1つの基準が「1.0」です。
(自治体によっては満たしていなくても補助金が出る)
では、「1.0」を目標として耐震補強することと
それ以上の数値を目指すことの意味は何なんでしょうか。
今日はこの「耐震補強」に求められる「強さの度合い」
についてお話ししたいと思います。
住宅の耐震性能「1.0」
「木造住宅の耐震診断と補強方法」通称「青本」では、
木造住宅の耐震性能を示す指標として
上部構造評点という基準が決められています。
耐震補強設計をする際には
この数値を引き上げていくのですが
基準となるのは「1.0」で
現在の建築基準法の最低レベルであり
この「1.0」以上であれば、建築基準法を
クリアしている数値と言えるのです。
経験則ですが、昭和40年代の建物であれば
この評点は0.3くらいまで低いこともザラです。
特に壁内部の構造が不明だったり
筋交の位置や取り付け方法が良く見えない場合には
安全側の数値を入れるので、
現状は0.1くらいの数値になってしまう事もあります。
リノベーション(フルリフォーム)の多い、築30年前後の木造住宅だと
0.6から0.7くらいのものもありますが
調査段階ではよく見えない事もあるので
比較的、予想よりも低く診断することも多くなります。
耐震設計で目指す評点をいくつにするか
実際に耐震補強計画設計を行う場合
評点はいくつにしたら良いでしょうか。
目標とすべき数値は「1.1」だと考えます。
当然、1.5を目指して良いのですが
既存の状態が0.3とか0.5とかの場合
あまり現実的だとは言えませんし
新たに壁をつくったりする必要も
多く出てくるはずなので
住みづらい家、暗い家になる可能性もあります。
やはり、住み心地と経済性のバランスをとると
「1.0」より安全率を見て「1.1」が
目指すべき評点だと思います。
特にリノベーション(フルリフォーム)では既存部分の解体時に
思わぬ状況が発覚し、計画変更を
しなければならない事も考えられます。
なので「安全側」で計画するという意味でも
「1.0」ではなく「1.1」で耐震計画設計をすると安心です。
実は耐震診断には2種類ある
実は耐震診断には「一般診断」と「精密診断」があります。
1つは「一般診断」と呼ばれるものです。
しかし「一般診断」は必ずしも耐震改修を
前提としているわけでゃありません。
もう一つは「精密診断法」です。
当然こちらのほうが厳密な計算をしますので
より実情に近い診断方法です。
しかし、実際には一般診断法の結果をもとに
耐震改修を行っている設計者が多いです。
一般診断法にはいくつか注意点があります。
一般診断法の注意点
一般診断法は2階建て建物の場合
総二階(1Fと2Fが同じ形)の場合と
そうでない場合も同じとして診断しますので
実際は2Fの形状が小さくても
1Fと同じ形状として計算するので
必要耐力を過剰に計算してしまいます。
なので補強計画自体が過剰となり
予算的にも多くなってしまう可能性があります。
窓の大きさの違いを判断材料とせず
保有体力の計算方法がアバウトとなることと
建物の重量を屋根の重さだけで判断している
部分も精密診断法と違うところです
これらのことから
耐震診断を依頼する場合には
「一般診断」ではなく「精密診断」で
依頼することがコストバランスのとれた
耐震補強となります。
今日の「わかった!」
耐震補強設計は「1.0」を目指して
設計することが多いです。
なぜならコストをギリギリまで抑えながら
法律で決められた基準まで補強する為です。
しかしリノベーション(フルリフォーム)では様々な事が
解体後に発覚することもあります。
場合によっては当初の計画通りに
耐震補強が出来なくなる場合があります。
なので、少し余裕をみた設計が必要です。
また、診断法には2種類あって
「一般診断」と「精密診断」があります。
一般的に行われている診断法である
「一般診断」だと、オーバースペックになりやすく
無駄な補強まで発生しかねません。
補強計画をする場合には
設計者には是非「精密診断で」と
依頼するほうが良いでしょう。
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<編集後記>
駿河屋の九代目がお送りする、天然素材・自然素材住宅のホント
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