「中古住宅を買ってリノベーションしたいけど、物件の善し悪しがわからず不安」
「不動産屋さんは急かすけど、本当にこの物件で良いのか心配」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
こんにちは。
駿河屋の一桝(いちます)です。
中古住宅を購入して、自分好みにリノベーションやリノベーション(フルリフォーム)をする住まい方がとても増えてきています。
しかし、
「建築や不動産のプロではない自分が立地や価格、広さだけで選ぶと、思わぬ失敗をしそうで心配」
と感じていませんか。
物件探しをしていても、なかなか思い通りの不動産物件にすぐに出会えることはありません。
出会ったとしても「もっと良い物件があるのではないか」とつい見逃してしまったり、決断が鈍ったりするものです。
そうした判断に迷っているときでさえ、不動産会社さんは契約を急かしたり、物件の希少性をアピールしてきたりする方もいます。
かといって、安易に妥協して契約してしまうのも、数十年のローンを組んで購入するものなにに失敗する可能性も高くなってしまいます。
「中古住宅」の購入には、「不動産的視点」とともに「建築的視点」がとても重要です。
建物の現在の状況から必要な情報を冷静に読み取り、後悔の無い素敵な住まいを手に入れましょう。
今日は一級建築士、一級建築施工管理技士、宅地建物取引士の僕が、実際に物件購入の為にお客様に立ち会った際に見るポイント。
「木造の中古住宅購入でプロはどこを見ているのかを知ってから物件探しをしよう」をお伝えします。
目次
塗装やサイディングであれば触ります。
手のひらに白い粉のような物が少し付けば そろそろ外壁塗装をする時期です。
しっかり指先が白くなってしまえば 購入と同時に外壁の塗装工事が必要です。
クラック(亀裂)の有無も確認します。
通常の劣化によるものか、建物由来の問題により発生したものか、クラックの位置や向き、大きさなどによって経年劣化なのか、深刻な問題なのか、様々なことがわかります。
金属でできている部分の腐食などを見ます。
そろそろ修繕の時期なのかなどまた、金物と建物との取り合い部分(つなぎ目の部分)が適切に処理されているかなども、よく確認することが大切です。
外壁の目地や、サッシまわりに防水の為にゴムのようなものが埋め込まれています。
これはコーキングといって、隙間からの水の浸入を防ぐ役割があります。
コーキングは通常5年から10年たてば、再施工をする必要があります。
日当たりなどで、もっと期間が短くなる場合もあります。
希にカチカチに固まってひび割れている時があります。
そういう状態は、すでに浸水していると思ってよいでしょう。
外壁からの漏水は、放置しておくと室内で目立たない程度であっても、基礎まで濡れてしまい、シロアリを呼ぶこともあります。
見えない部分はグーグルアースで調べると瓦か、それ以外の屋根素材なのかが判断出来ます。
金属製のガルバリウム鋼板と呼ばれるものであれば、ほぼメンテナンスフリーと言われています。
(厳密にはメンテナンスフリーではない)
コロニアルと呼ばれるものは定期的な塗装が必要です。
劣化が進んでいれば、購入と同時に塗装などのメンテナンスが必要です。
バルコニーや屋上の状態を見ます。
ひび割れやハガレなどがある場合には防水の再施工が必要です。
方法はウレタン防水を上から塗布することが一般的です。
木造での雨漏れは、シロアリ被害に繋がるので早急に施工が必要です。
バブルの全盛期や、バブル崩壊後など経済が不安定な時期は、手抜き工事や、突貫工事が行われることがあります。
酷いケースは、「断熱材が天井裏に放り込んであっただけ」なんて事もありました。
工事期間中に施主が破産して持ち主が変わっていたりする場合、工事が途中でストップしていて、大切な構造部分にとって良くない状況が続いたかもしれません。
(構造体の雨ざらし、鉄筋の腐植など)
そうした時期が果たしてあったかどうか、経済の乱れが激しい時期だったかどうか、こうした視点で見ると、見えてくるものがあります。
「検査済証」とは、役所への工事着工時に建築確認申請を行いその通り施工された、法律に則った建物ですよと役所のお墨付きを頂く書類です。
この書類とともに、構造計算書や設計図書があれば尚、安心です。
しかし、
検査済証の無い物件も多いです。
無くしたということではなく、そもそこ検査を受けていないというもの。
それは、役所に新築工事の申請をする「確認済証」を提出したものの、意図的に、その通り施工せず検査を受けていないというものです。
そもそも昭和の物件は、こうした検査を受けることは少なく、以前ある地域でのある年代を調査したときは、その年代の新築物件のほとんどが完了検査を受けていない。
つまり「検査済証」を受理していない物件でした。
こうした物件は、違法建築物の可能性も高く金融機関からの融資が受けられず、行政の補助金なども適用されません。
そもそも構造的に怪しいなど、かなりのデメリットとなります。
将来同居で介護の予定のある方などはホームエレベーターの設置も視野に入れているかもしれません。
国からの助成金もありますし、設置費やランニングコストも大分安くなって来ました(350~500円程度/月)。
しかし、
エレベーターの設置には、設置届けを提出しなければなりませんが違法建築物には法律上、設置することが出来ません。
建築確認を提出して、役所の検査を受け、検査済み証を受け取った物件のほうが様々な補助が受けられます。
全ての階の壁と天井を見ます。
雨漏れ跡が発見できたら、それは「古いしみ」なのか「新しいしみ」なのか、お住まいになられている方や不動産会社の方に聞き、修繕済みか否かを確認します。
雨漏れは大切な構造体を腐らせますし、湿気によってシロアリが寄ってきて2階の柱まで食べられていたということもあります。
これは、慣れないと感覚として解らない事があります。
一般の方はわずかな傾斜に気付きづらいのですが、こうした歪みは扉に症状が出ることがあります。
「建具の開閉」で説明します。
建物が酷く傾斜している場合には建具(扉)の開閉がスムーズにいきません。
一見、問題なく見える建具ですが、開閉して確認をすることが必要です。
多少の傾斜では症状が現れない場合がありますので、建物の各部分の高さを正確に測る調査も必要です。
風の抜ける家は、湿気がこもりづらいので住まいを長持ちさせます。
結露やカビも発生しづらいことと、何より住んでいて心地良いはずです。
風が抜けるような間取りかどうか、実際に風が抜けるかどうかを確認してください。
そうでない場合には、そうした間取りへの変更が可能かなど、リノベーション(フルリフォーム)の可能性を専門家に相談してみてください。
現行の法律に適合した耐震強度は、昭和56年6月以降に建築確認申請が役所に受理されハンコをもらった物件が対象です。
昭和56年6月に完成した物件や、同月に検査済証を受理した物件は、旧耐震基準で設計・施工されているので現在の耐震基準と異なります。
「昭和56年以降の物件なら現行の耐震基準である」と勘違いしがちですので、間違えないようにして下さい。
ひび割れや蟻道(シロアリの道)がないか。
通気口はふさがったりしていないか。
基礎の高さは低すぎないか。
出来れば専門家に確認してもらってください。
また防蟻工事(ぼうぎこうじ:シロアリを防ぐ工事)が実施されたのは最後はいつか?
という部分も確認できれば確認してください。
白蟻を防ぐ工事は、土台に施すものだけではありません。
化学物質過敏症やシックハウス症候群の方や、その疑いのある方や、そうしたものを避けたい方は、建物ではなく敷地内にて行う防蟻工事も検討してみてください。
ツーバイフォーやプレハブ住宅、ハウスメーカーのオリジナル工法などは間取りの自由度がありません。
(場合によりますが・・・)
反対に木造軸組工法であれば、補強計算をしながら間取りを変更することが可能です。
間取りを変更して住みたい、もしくは将来変更の可能性がある場合には、ツーバイフォーやプレハブ住宅、ハウスメーカーのオリジナル工法の住宅は自由度が限られるので注意が必要です。
バランスの悪い建物は地震の際に大きく揺れることがあります。
四角く、安定した形状が理想です。
L型や、上階がはね出しているような形状は非常にバランスが悪く、地震に弱いと言えます。
また、
中古住宅は望んだ間取りではない事があります。
住まいが手放されたり、建て替えの為に解体される理由は、「現在のライフスタイルに合わなくなった」 という理由が大半を占めます。
なので中古住宅の場合には、間取りを変更することをある程度前提として検討することになるはずです。
玄関から直に階段室で、二階を子供部屋にしてしまう場合など、やはり子育てとしては思わしくない間取りです。
間取りを変えられる建物かどうか、事前によく調べることが大切です。
死角になるような場所、隠れられる場所、泥棒に入られやすい間取り、配置など、可能性を探り、防犯対策を考えます。
以前に泥棒の被害があったかどうか、どこから侵入したかどうかなども、事前に不動産会社さんや持ち主に聞いておくことも今後の防犯対策には必要です。
洪水や地震など、災害に対しての強さをハザードマップや地盤サイトで確認する。
簡易的な確認であれば、地盤ネットの「地盤カルテ」がお勧めです。
名前、メールアドレスの登録が必要ですが、簡単なわりにすぐに概要がわかり、判断の目安にすることが出来ます。
ウエブサイトですぐに結果がわかりますがメールアドレスあてに添付カルテが届きます
1Fにキッチンがあれば、床下収納が大概あるはずです。
床下収納を開けて、中のBOXを外せば床下の状況が確認できます。
基礎の状況を確認するのは当然ながら、開けた瞬間のニオイをかいでみて下さい。
湿っていたり、カビのニオイがきつい場合には土台などが傷んでいるはずですし、今後も痛みが進行する可能性が高いです。
家全体の湿度を感じてみてください。
妙にじめじめした住まいは「気」もよくありませんし、家の痛みも早いです。
2階の和室の天井板が外れるようであれば、天井裏を見ます。
構造体を固定している建築金物が適正に使われているか、筋交が入っているか、断熱状況はどんな感じか、天井裏を見ると、施工者の気遣いがおおよそわかります。
見られれば必ず見た方がよいでしょう。
周辺環境のことです。
スーパーや学校などが周辺にあるかどうかは、内覧前に事前によく調べると思います。
しかし、
お隣との間取りの位置関係や、目隠しの位置も確認してください。
お隣のキッチンやトイレの換気扇の位置などが、ご自宅のリビングに面していたりすると、ニオイが気になるかもしれません。
リノベーション(フルリフォーム)によって改善できるかの可能性も同時に探ります。
可能であれば、住まいを手放す理由を伺って下さい。
本当の事を教えてくれるかわかりませんが、聞いてみることをお勧めします。
意外とたいした問題ではない場合も多いですが、そうでない場合もあります。
住まいは住む人が変われば状況も変化しますが、それには時間がかかります。
出来れば、気持ち良い方から購入し気持ち良く引っ越ししたいものです。
頻繁に出入りの激しい住宅は何か原因があります。
出来れば避けて下さい。
中古物件の購入は、探しても簡単に見つからないのにある時、突然気になる物件が見つかったりします。
しかし、
慌てるのは禁物です。
最低でも20以上あるチェック項目です。
一つ一つ的確に確認しなければいけませんが、全部が満点の物件などはなかなかお目にかかれません。
その中でも特に重要なチェック項目は、「あとからどうにもならない問題」です。
例えば「立地」や「構造」に関わることは、あとから気づいてもどうにか出来ることではありませんので、特にしっかりと確認します。
いずれにしても、不動産会社さんと皆さんだけで購入を決定するのではなく、信頼できる第三者の建築のプロに同行してもらい的確なアドバイスをもらい、判断することが、中古住宅の購入において、失敗しないコツです。
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<編集後記>
毎日ブログを更新していましたが、最近社内組織や人材募集や採用のほうに時間がとられて、ブログの更新が滞っています・・・。
頑張って皆さんに役立つ情報を発信するよう頑張ります。
先日は「つちからの会」で田んぼ学校などに沢山参加してくださる、Kさんと2人で、蓼科へ一泊ツーリング&キャンプへ行ってきました!
もともと日光へ行く予定でしたが、天候が不安定なので急遽、美ヶ原から蓼科へ変更。 気候もよく最高でした!
駿河屋を知らない人がまず最初に読む「駿河屋の想い」
駿河屋の九代目がお送りする、天然素材・自然素材住宅のホント
幸せの住まい作り最初の一歩を間違えない為の
★産直の厳選素材住宅 自然素材住宅・珪藻土・無垢の木なら創業1657年 駿河屋
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